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夜中の内に、船はアマゾン本流から支流のマディラ川に入っていた。
午前6時。夜明けと共に、賄いのおばさんに叩き起こされる。
朝食は、甘いミルクコーヒーとクラッカーのみ。この調子で4日間はちょっときついかも。
午前6時半に、ノバ・オリンダ・ド・ノルテという小さな集落に停泊。船が出るまでの間に、慌ててピンガ、ラム、レモン、パン等を買い込む。船の売店ではビールしか売っていないのだ。
午前10時半、鶏の唐揚げ、スパゲティ、米、サラダの昼食。
午後2時、ホルバという集落に停泊。まっ青な教会と、子供を抱いた巨大な神父の像がマディラ川を見下ろしている。映画に出てきそうな、キッチュでシュールな風景だ。
午後5時半、魚のフライ、米、スパゲティ、トマトサラダ、豆の夕食。メニューは、毎日同じようなものだろう。しかも、すべてが普通より2時間ほど早く進んでゆく。
午後6時半、日没。
3階がデッキになっていて、そこに売店とテレビがある。映りの悪いテレビの前に人は座り、人気番組「アメリカ」を食い入るように観る。船は動き続けているので、衛生に向けてアンテナを常に調整しなくてはならない。それがうまいオヤジがいたりして、なんとなく客の間で任務分担ができてゆく。
川が細くなって岸が近づくと、船の灯めがけて無数の虫が飛んでくる。それを見て恐がる男の子と、虫を踏み潰す姉。6才くらいのこの子は実に活発で、1日中船の中を動き回っている。ビールの空缶を蹴るサッカーもどきも実にうまい。それとは対照的に、弟の方は何かというと泣いている。父も母もプロレスラーのような巨漢で、この家族が私の船室の隣に陣取っている。
空にはガラスの粉を撒いたような星の群。ひときわ明るいのがサソリ座と南十字星だ。ピンガにレモンを絞り、ホセから貰った「ロミオ・アンド・ジュリエット」を吸う。
ちっぽけな貧乏船だが、どうしてこんなに豊かな気分になれるのだろう。
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