午前6時半に起きて海辺を散歩。茶色に濁った大西洋が波立っている。ちっとも美
しくない。小さな帆かけ船で海に出るのはインド人の漁師。ガンジス河の岸辺を歩いているような気分だ。時々、太った白人と黒人がジョギングして擦れ違ってゆく。変な所だ。
9時に出発してジョージタウンへ。古い木造建築を撮影していると、黒人の巨漢が
何やら言ってきた。車を駐めた場所が違法で、警察に来いと言う。罰金は50US$
だが、自分が何とかしてやってもいいというようなことを言う。身分証明書を見せろとホセが言うと、一応、警察手帳らしきものを見せた。ゴロつきなことは一見して分かるが、知り合いの一人もおらず、この国の実状を何も知らない私たちにはヘタに抵抗することもできない。仕方なく、ホセが30US$を手渡すと、「気をつけてな」とか何とか言ってヘラヘラ笑いながら歩いていった。多分、本当に警官なのだろう。こういうのがゴロゴロいるとは、噂通りの町だ。「シット!」と毒づくホセ。こんな町、さっさとおさらばしようぜと、私たちはジョージタウンを後に一路西へ。
ジョージタウンからリンデンまでの100kmは快適な舗装路だったが、その先から
赤土のダートに変わった。
深い緑のジャングルを分けて、所々水の溜まった土の道がうねうねと延びてゆく。
人気がなくなり、数十キロに一カ所ほどの割り合いでインディオやインド人の淋しい集落が現れる。
午後5時。暗くなる前にキャンプ地を捜そうと、道端の食堂に立ち寄る。目の前が
広い土のグランドになっていて、そこに勝手にキャンプしろとインド人の親父が言
う。よく見ればクリケット場か何からしく、小さな階段式の観覧席もある。今夜はここでキャンプと決めてテントを張り、食堂で鳥の唐揚げとココナツライスの夕食。飯はまずいが、冷えたビールが飲めたのが何より嬉しい。
テントへ戻り、ガスランタンの灯を頼りに皆で酒を飲む。
あたりは真っ暗闇。時々、遠くの空が稲光りで白く光る。明日、雨が降らねばいい
のだが。大雨が降ったら大事になりそうな予感がする。
もの凄い湿気だ。虫の音以外に音はなく、向かいの食堂の灯が灯台の灯のように暗
闇の中で光っている。
まるで、夜の海の只中へ放り出されたようだ。
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