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朝、宿のロビーのテレビでロンドンでの同時多発テロを知る。旅することに追われてしばらく忘れていたが、世界は何も変わっちゃいないことを思い出す。
午前中、カイエンヌのスリナム領事館へビザ申請に。さんざん待たされた挙げ句、日本人にビザは必要ないことが判明する。 ホセ、悪態をついて申請用紙を破り捨てる。冷静で何事にも動じない男にしては珍しい。彼も、色々とストレスが溜まっているのだ。 街中のサイバーカフェでメールの送信を試みるがうまくゆかず。FAXすら送れない。表向きは近代国家(?)を装っているが、内実はひどいものだ。公衆電話すらなく、街の電話屋のブースからかけるしかない。
何やかやの雑用を片づけている内に時間が経ち、カイエンヌを後にしたのが午後3時。
スコールの黒雲に追われるように一時間走り、海辺の町、クールーへ。 この沖合いに、フランスで犯罪を犯した人間を収監する監獄島があり、今は、ある種の遺跡のようになっている。その内の一つの「悪魔島」は政治犯を収容した監獄島
で、スティーブ・マックィーン主演の名作、『パピヨン』の舞台になった島。ここを取材、撮影するつもりで来たのだが、何故か数年前から入島できなくなっていることを知る。
仕方なく、海辺のホテルに部屋をとる。大きなホテルなのに働いている人間が少ない。フロントにおばさんが一人いて、ベルボーイもいない。大きなレストランで働くウェイトレスも一人だけ。しかも彼女、仕事が終わると4、500万はするアメ車のピックアップで帰っていった。「彼女、どうやってあの車を手に入れたんだ?」と首を傾げるホセ。
ホント、不思議な所だ。一つの仕事にも沢山の人間が群がるのが第三世界の常識だが、ここではなるべく人が働かないようにしているかに見える。だから活気がなく、人々の誇りや自負のようなものも感じない。
フランスの植民地でいた方が食ってゆける。そういう空気が隅々にまで充満しているのだ。
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