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7月6日(水) 晴れ、時々、スコール    オイアポケ→カイエンヌ(190km)

午前8時、ブラジル側の通関をすませ、9時にフェリーに乗る。
フェリーと言っても平底の渡し船。オイアポケ川を斜めに下り、およそ30分で対
岸へ。船から見る限り、仏領ギアナは小綺麗に整理された感じ。しかし、活気がな
い。
イミグレのフランス人、愛想の欠片もない官僚ヅラ。この国に来るのは迷惑と言わんばかりだ。それでも、フェリーの船長のお陰で手続きはスムーズに進み、1時間足らずで入国。
港のカフェで船長とジュースを飲む。あちこちで交わされるのはフランス語。通貨
はユーロ。ここはどう見ても南米じゃない。
フランスは、どうしてこんな所を植民地にしておきたいのだろう。カリブと中南米
を押さえる拠点が欲しいのか。産業らしい産業もなさそうだし・・・。ともかく、変な所だ。船長と別れて走り出す。

左右から迫る深いジャングルを分けて細い道がうねうねと延びてゆく。いくら走っ
ても、人家も店も集落もない。人の気配すらない。生命を感じるのは群れて飛ぶ黄色い蝶たちくらいだ。同じ所をぐるぐる回されているような感じ。
しかし、それにしても何も退屈きわまりない道だ。畑もなければ牧場もない。道行
くトラックもなければ道端を歩く人もいない。こんなに生活感のない道を200km近
く走ったことなど滅多にない。何なんだ、この国は。

■仏領ギアナ到着
■カイエンヌの街
■カイエンヌで一服
■カイエンヌの街

 

午後3時、首都カイエンヌ着。うだるような暑さの中、宿を捜してうろつき回る。
何しろ情報がない。「ロンリープラネット」に載っているのも、バックパッカー相手の安宿が数軒のみ。で、その内の1軒に飛び込むが、大した宿でもないのに1泊40ユーロ(約6000円)。何しろ物価が高いのに驚く。タバコが一箱3ユーロ(約420円)で、ビールの小ビンが700円。でもってガソリンが1200円となれば、世界一物価が高いといわれる東京より高いじゃないか。

さすがに首都のカイエンヌには人が溢れているが、人が多いだけで活気がない。商
店は殆どが中国人。行き交うのは黒人・・・。なのにエネルギーもパワーも感じな
い。まるでSFみたいだ。本当に、ここが南米なのだろうか・・・。 カイエンヌは、特に見るべきものもないちっぽけな町。一国の(じゃない、植民地)の首都とはとても思えない。洋服屋もスーパーも雑貨屋も中国人の店ばかりで、行き交うのは黒人ばかり。まるでアフリカの国の中華街にいるようだ。
食堂も中華料理店ばかり。しかも、早くから殆ど閉まっている。やっと見つけた中
華屋でベトナム風スープとシュウマイの夕食。ユーロがないからクレジットカードで支払う。

宿に帰ってラジオを点けると、流れるのはシャンソンや、マルティニークあたりの
フレンチカリビアンばかり。シャディーなんかも流れたりして変な感じ。サンバもサルサもクンビアも聞けない南米なんて、信じられない。
7月7日(木) 晴れ、のちスコール カイエンヌ→クールー(170km)

朝、宿のロビーのテレビでロンドンでの同時多発テロを知る。旅することに追われてしばらく忘れていたが、世界は何も変わっちゃいないことを思い出す。

午前中、カイエンヌのスリナム領事館へビザ申請に。さんざん待たされた挙げ句、日本人にビザは必要ないことが判明する。 ホセ、悪態をついて申請用紙を破り捨てる。冷静で何事にも動じない男にしては珍しい。彼も、色々とストレスが溜まっているのだ。 街中のサイバーカフェでメールの送信を試みるがうまくゆかず。FAXすら送れない。表向きは近代国家(?)を装っているが、内実はひどいものだ。公衆電話すらなく、街の電話屋のブースからかけるしかない。

何やかやの雑用を片づけている内に時間が経ち、カイエンヌを後にしたのが午後3時。
スコールの黒雲に追われるように一時間走り、海辺の町、クールーへ。 この沖合いに、フランスで犯罪を犯した人間を収監する監獄島があり、今は、ある種の遺跡のようになっている。その内の一つの「悪魔島」は政治犯を収容した監獄島
で、スティーブ・マックィーン主演の名作、『パピヨン』の舞台になった島。ここを取材、撮影するつもりで来たのだが、何故か数年前から入島できなくなっていることを知る。

仕方なく、海辺のホテルに部屋をとる。大きなホテルなのに働いている人間が少ない。フロントにおばさんが一人いて、ベルボーイもいない。大きなレストランで働くウェイトレスも一人だけ。しかも彼女、仕事が終わると4、500万はするアメ車のピックアップで帰っていった。「彼女、どうやってあの車を手に入れたんだ?」と首を傾げるホセ。
ホント、不思議な所だ。一つの仕事にも沢山の人間が群がるのが第三世界の常識だが、ここではなるべく人が働かないようにしているかに見える。だから活気がなく、人々の誇りや自負のようなものも感じない。
フランスの植民地でいた方が食ってゆける。そういう空気が隅々にまで充満しているのだ。

 
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