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50年目のコリアン・レストラン
東京は、かのニューヨークほどではないにしても、今や世界各国 のレストランがひしめいている。
だから、国ごとに一軒ずつ食べ歩 けば、あたかも味覚と空想による世界一周旅行ができる。と
いうの がこの番組のコンセプト。
そこで、第1回目は、戸塚省三と瀬戸カトリーヌが、まずはお隣の韓国へと出発。
訪れた先は、昭和26年創 業のコリアン・レストランの草分け、銀座「清香園」。
そして、次 に向かったのは新大久保に13年前に開店した「コリア・スンデ 家」。
50余年の歳月を経た東京には、なんと空想どころか現実にコ リア・タウンが
広がっていた!
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 日本と韓国は隣国というだけあって、互いに顔つきも体型もそっくりだし、言葉も主語 ・述語の語順がヨーロッパ系や中国語などと は全く逆さまだってところもよく似ている。
 食べ物も、米が主食で味噌・しょうゆがあ り、箸を使うところも全く同じ。ただし実際 の料理となると、これがまるで違う。
 ニンニクや唐がらしを多用することもそう だけど、いちばんの違いは、日本と違って昔 から伝統的に肉を食べてきたってことだ。仏教の影響で日本と同様に肉食が禁じられた時代もあったけれど、蒙古に征服されたことで、 肉食文化が広まり定着した。それを考えると、 もしも二度の元寇を神風のおかげで免れていなかったとしたら、日本の食文化も、ついでに相撲もずいぶん変わっていたはずなんだけど、オッと、これは余談だったかな・・・。
 ま、そんなわけだから、明治になってから肉を食べるようになった日本人と違って、昔から肉を食べ慣れた韓国や朝鮮の人たちがいわゆるホルモンというモツ焼きを終戦直後の関西で始めたというのは、しごく納得のゆく話ではある。しかし、その焼肉が大人気とな り日本中に広まったせいで、日本人にとって 韓国・朝鮮料理イコール焼き肉ってことにな ってしまった。それが、ようやくこの10年くらい前から、焼肉以外の一般的な韓国の料理 を出す店が東京にも登場してきた。で、昔からの焼肉屋と違う点は、なによりも店の経営者が最近新たに韓国から日本にやって来た人たちだってことだ。いわゆる韓流ブームが起きるずっと前から、韓国料理業界には新しい風がすでに吹き始めていたのである。
 新大久保の「コリア・スンデ家」も、そんな新しい店の一つで、店主の千さんは、もともとは英語の勉強のために日本に来たのだそうだ。スンデというのは、もち米や春雨などの具に豚の血を混ぜて作った腸詰めの一種で、 韓国では屋台でも売っているポピュラーな料理なんだけど、どういうわけかこれまで日本では見かけたことがなかった。最初は千さんが自分で作り都内の焼肉屋向けに卸していたのを、8年前に今の店を開き、名物料理として売り出した。メニューには他にもこれまでの焼肉屋にはないような家庭料理が並んでいて、そのせいか客の中にはソウルから来た商社マンや、日本人と結婚した韓国女性もいて、 聞くところによると、スンデの味が懐かしくなるとここにやって来るのだと言っていた。 すぐ隣の国なのに、どうして今までこういう 店がなかったのか不思議なくらいだ。
 ところで、「コリア・スンデ屋」がある新 大久保界隈は、いまや韓国料理店だけでなく、 食品店、美容院からブティックまであって、 まさにコリアタウンとなっている。しかし、 今から50年前の東京はというと、焼肉屋はまだホルモンと呼ばれ、それも闇市や屋台に毛 の生えたような店でやっていて、とても韓国 料理と呼べるような代物ではなかった。それでは韓国人としてあまりにも忍びない、本当の韓国料理を紹介したいというので、韓国大使館の後押しもあって昭和26年に銀座で開業したのが「清香園」である。創業以来、料理の味付けからキムチの仕込みまですべてを、 この店の会長、というよりは日本の韓国料理界のオモニ、張貞子さんが取り仕切っている。 開店当時は、韓国の唐がらしなど日本にない食材は海運業をやっていた夫に頼み韓国から運んでもらい、ナムル用の大豆のもやしは張さん自身が栽培し、チヂミ用の緑豆も石臼で 挽いたというから、まさに韓国料理店の草分けなのである。
 この「清香園」から50年、新大久保にコリアタウンが生まれ、「コリア・スンデ家」も 登場し、日本のコリアン・レストランはよう やく「焼肉の呪縛」から解かれ、大きく変わろうとしている。見方をかえれば、それだけ 日本と韓国が近づいたってことであって、何ともうれしい話なのである。じゃあ、どんな 風にかっていうと、エー、あとは番組を見て のお楽しみ・・・・・・。
戸塚省三プロフィール
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