|
今回は長崎県長崎市。前回の壱岐も長崎県なので、六年目をむかえるこのシリーズではじめて二回続けて同じ県と言うこととなった。まずは散策の場所の下見に出島へ向った。出島と言っても、江戸時代の建物を再建している途中である。昔の面影は全く無く、残っているのは地中に残った石垣だけだ。ちょっと拍子抜けだが、ミニ出島が面白く、どこかのテーマパークのようだ。
|
| 次に向ったのはグラバー邸。実は今までグラバー邸に行ったことがなく、初めて訪れてみた。園内の建物はみな興味深く、昔の雰囲気に浸れる。しかし、観光客で溢れ、とても撮影できる状況ではない。諦めよう。来た道を帰るのも面白くないので、奥の出口から出てみた。車も入れないような長崎特有の細い坂道に出ると観光客は一人も居ず、小学生がランドセルを背負って道草を食っていた。地図を頼りにぶらぶら歩いて行くと何やら不思議なエレベーターが有る。こんな観光客の一人も来ないところなんでエレベーターがと思ったら、ここに住む人々用の生活道路だった。長崎は本当に坂の町だ。車はまず通れないし、バイクでも上るのに苦労しそうな道ばかりだ。そんな急な坂道の両側にずらっと民家が並ぶのだから驚く。どうやって建てたのだろう。他人事ながら心配になる。そんな坂道の昇り降りを楽にするためだろう、坂道に沿った斜めのエレベーターが建築されていた。言ってみればケーブルカーの縮小版だ。そして面白いことに、そのエレベーターの周りに螺旋状のスロープが設置されているのである。上りはエレベーターで、下りは景色を眺めながらスロープで下りる。観光客が押し掛けてくるところではないが、長崎市民の生活に触れるには良い場所だ。 |
|
| 夕方になり、居酒屋の散策だ。長崎の飲食店街は思案橋から銅座町、船大工町へと続く。道は狭く入り組んでおり、初めての人には大変分かりづらい。私も地図を片手にお目当ての居酒屋を探すが、なかなか見つからない。そんな迷路みたいな町が又面白いのだが。そうこうするうちにやっと目指す居酒屋「さかなや」にたどり着いた。この店は当番組のファンの方から教えていただいた店なのだが、名前からして長崎の美味しい魚が食べられそうではないか。期待に胸を膨らませて店に入った。店は入り口の左側に10人ほどのカウンター。カウンターの上にはさばかれた魚が入ったネタケース。奥には大きめの小上がりがあり、グループなら奥に通されるのだろう。私は一人なので当然のごとくカウンターに陣取った。目の前のネタケースの中の魚はみんな美味しそうだ。あれこれ頼むのも面倒なので、刺身の盛り合わせをお願いした。そして、まずは生ビールだ。それもエビスの生。9月と言ってもまだ暑く、最初の一杯がたまらない。カウンターの中には若いご主人。そしてサポートは奥様だろう。二人仲良く働く姿が微笑ましい。刺身の盛り合わせは、しめ鯖、キビナゴ、イワシ、ヒラマサ、イサキの湯引きとかなり豪華。どれもなかなか美味しい。もう既に半分取材を決めていた。しかし、どれもそんなに珍しい魚ではないなと思いながら食べていると、ご主人からヒラマサの肝のボイルが有るから食べてみない?と勧められた。魚の肝のボイルとはどんなものだろう。珍しさに引かれて頼んでみた。すると、意外なほどあっさりとしていて大変美味しい。この料理はこの店のオリジナルだそうで、今日は所用で店には出ていないお父様が、船に乗っている時に考えだしたそうで有る。いつもはお父様御夫妻と、婿夫婦の四人で営業されていると言うことを聞いて、ますますこの店にお願いしようと思ったのだが、お父様のいる時にお願いした方が良いと思い、次の店に向った。(後は番組でご覧下さい。) |
| 銅座町に「五島」という店を発見。あの五島列島から名前をとったことは予想できる。五島列島の魚が食べられるのなら十分期待できる。ただちょっと店構えはハデだが。店内はカウンターと座敷きのいたってシンプルな作り。五島列島の魚が食べられるかと思いメニューを探すと、豊後水道のサバと書いてある。ちょっと首をかしげたがご主人のすすめに従って食べてみた。その美味しいこと。豊後水道と言えば関サバの捕れる場所と近いだけあって、流石だ。しかし、五島列島の魚が見当たらない。その他のメニューは、特に長崎の特徴が有る訳ではなく、残念だ。私の好きな馬刺しなどもあったのだが、長崎で馬刺しを食べても絵にならないので諦めて店を出た。 |
| 次はバーだ。何人もの方から名店と聞いていた「yamamoto」へ行ってみた。しかし、なんと開いていない!定休日では無いはずだがどうしてだろう。考えても仕方が無いので、もう一軒目星を付けておいたバーへ向った。 |
| バーへ向う途中、路地の奥に「久里酢樽」という店を発見。看板には地魚料理と大きく書いてある。「久里酢樽」はたぶんクリスタルと読むのであろうが、地魚の文字に引かれ覗いてみた。店の中は小さいカウンターに小さいテーブルが二つ。こじんまりとした店だ。カウンターに座ると気の良さそうなおかあさんが相手をしてくれ、イサキの刺身を出してくれた。イサキは先程の「さかなや」でもいただいたのだが、旬なのであろうやはり美味しい。しかし、どうも目の前のおかあさんは女将ではないようだ。聞くと、最近お手伝いを始めたようで、奥の厨房で料理をしているのが女将さんだそうだ。女将さんも手が空き、顔を出した。キリッと鉢巻きをした、凛々しい方で、男の板さんのようだ。しゃべる言葉も男らしい(失礼)。もう既に刺身ばかり3軒食べてしまったのでもうお腹に入らない。少し早いがバーへ移動しよう。 |
| 目当てのバーは「ビクター」。雑居ビルの二階のバーだがドアを開いて驚いた。ちょっと暗くて良く見えないが、黒い木調で統一された店内が、いかにも古いバーと言う雰囲気だ。誰も居ないカウンターに腰を下ろし、マスターにモヒートをお願いした。マスターは意外に若く、まだ30歳そこそこだろう。しかし、出来上がったモヒートの味は確かなもの。大変美味しかった。ふと見上げるとバックバーの上にビクターの犬の置き物が大きい順に5体飾ってある。やはりあのビクターから名前をいただいたのか。もしくは同じ名前のビクター人形を集めたのか。なかなか面白い店である。もう一杯ギムレットをお願いし、長崎のバー事情を聞いてみた。さすがにこれだけのバーのマスターだけあって、事情には詳しい。「yamamoto」がやはり一番古く、面白いバーなら「PSYBAR」だという。 |
| 早速、「PSYBAR」ヘ向った。有名な料亭「花月」の近く、丘を上がったところにそのバーはあった。古い旅館を改造したと言うその店は、ご主人を始めみんな若いスタッフ。しかし、80年は経つと言う歴史的建物をうまく利用している。何と言っても大きな窓から見える景色と、小さいが池にコイが泳ぐ庭が素晴らしい。改装は大変だったでしょうとご主人に話し掛けると、なんとこの旅館に昔住んでいたとのこと。この旅館の跡取りだったのだ。東京に出て色々なバーで働くうちに、生家である旅館は廃業。取り壊されるところをせっかくだからと、長崎へ戻り店を始めたと言う。良いことを始めたものだ。長崎の文化的建造物が一つ残ったのだから。 |
| もうかなり酔っぱらってきてしまったので、ホテルヘ向った。最後にもう一度「yamamoto」の前を通ってみたがやはり休みのようだ。仕方がない。明日帰京の飛行機を最終便にして、明日もう一度寄ってみよう。 |
| 次の日、夕方にまず「さかなや」へお邪魔し、お父様へ御挨拶。取材のお願いをした。快くOKをしていただき。「yamamoto」ヘ向った。18時オープンの店に15分前に着いた。ドアを押してみると開くではないか。図々しく店内に入り「早いけれど良いですか?」と聞いてみた。するとマスターは笑顔で招き入れてくれた。ラッキーだ。なぜなら、18時15分には店をでなければ、最終便に間に合わない。綱渡りである。ジントニックをいただき店内を眺めると、噂に違わず素晴らしい店だ。歴史を感じるカウンターに丸椅子。典型的な昔のバースタイルだ。もう大ベテランのマスターの作るカクテルも大変美味しい。そして、バーテンダーとしての長い経験から醸し出されるマスターの雰囲気が素晴らしい。全てを包み込んでくれるような接客態度に尊敬をおぼえた。取材のお願いも快諾していただき、タクシーを飛ばして長崎駅から白いかもめに飛び乗った。(後は番組でご覧下さい。) |