関連DVD/書籍情報

愉楽の銀座酒場

太田和彦著愉楽の銀座酒場 09年5月発売!! 1,700円(税込み)

太田和彦の日本百名居酒屋

「太田和彦の日本百名居酒屋」DVD 1~3巻 09年4月発売!! 各3,990円(税込み)

 


  沖縄本島は、那覇に二回お邪魔しているだが、今回は基地の町コザ(沖縄市)を訪れてみた。コザは、個人的には二回目で、バーはなかなか良いのだが、居酒屋があまり無いように思えたので、多少の心配を胸にゲート通りに降り立った。ゲート通りは嘉手納基地のゲートに続くメインの通りで、道沿いには米軍相手の洋品店やバーが立ち並ぶ。まるでアメリカにいるようだ。まずは、前回の個人旅行の時に泊ったデイゴホテルへチェックイン。コザでは老舗のホテルで、巨漢の専務さんが有名なホテルだ。最近改装して、大変綺麗になり、最上階(とは言っても5階だが)には、大浴場も出来た。しかし、昔のデイゴホテルを知っている者にとってはちょっと寂しい。まるで、アメリカの地方都市にあるようなホテルに、米軍関係者が宿泊して、遅いブレックファーストを食べている姿が懐かしい。

 まだ昼を少し過ぎたばかりなので、昼食でもと思いパークアベニューを歩いてみた。昼間というせいもあるが、人っこ一人歩いていない。道や歩道はよく整備されているのだが、なんとも寂しい。しかし、このパークアベニューには幾つかの有名な店がある。まず、タコライスの有名なチャーリー多幸寿。小さいが有名人がおしのびでやってくるコザ食堂。夜、米兵たちの集まるモリガンズ、などなど。沖縄そばを食べたかったのでコザ食堂に入った。奥にオバアの客が一人。オバアの女将さんと話している。私が手前のテーブルに座ると、話を止めて注文を取ってくれた。ソバとハンバーガーを頼んでみた。ソバは沖縄どこでも美味しいので、あまり目立たないが、ハンバーバーがとても美味しい。さすが本場というべきか。私は、昔、2週間ほどアメリカを旅したことがあるが、様々な料理を食べた中で、カリフォルニアの田舎町で食べたハンバーガーが一番美味しかった記憶がある。その味に近いのだ。やはりアメリカの味はハンバーガーなのかなと苦笑してしまった。
 夜まで時間があるので、オープニングの場所を探しに、安保の丘へ行ってみた。安保の丘とは嘉手納基地が見える丘だそうだが、危険は無いのだろうか?一抹の不安を抱えながら、地図を頼りに辿り着くとそこはまさしく基地内が見渡せる観光地だった。すぐ近くには道の駅もあり、3階建てのビルの屋上から観光客がまさしく観光していた。米軍基地ということで厳重に隠されているのかと思いきや、なんともおおらかと言うか、いいかげんと言うか。沖縄の基地というのはそういうものなのかと変に感心してしまった。

 夕方になり、まず一軒目の「善」に入った。以前カラカラと言う沖縄の雑誌に登場した店で、気になっていたところ、視聴者の方から大変良い店だとの情報をいただいたのだ。コザの繁華街である中の町からはかなり外れ、住宅地の真ん中にその店はあった。隣というか、同じ建物の中にある鮮魚店もご主人が営業されている。店内は、広めの座敷で、客は靴を脱いで上がるのだが、一方がカウンターになっているという不思議な作りだ。カウンターの上にはすし屋のネタケースが置かれ、奥には水槽になっている。まだ客は私一人なのだが、ご主人は刺し盛りを作るのに忙しい。オリオンの生ビールを頼み、話を聞くと、どこかの店の開店記念の刺し盛りで、直ぐに届けなけなければならないと言う。鮮魚店の仕事だった。その刺し盛りの中から美味しそうなシマアジをいただいた。近海で獲れたものらしいが、南の魚にしては脂が乗って大変美味しい。沖縄料理を一つと思い、スーチキをお願いすると、知り合いが作っているという豚タン燻製が付いてきた。見た目は普通の燻製だが、食べてみて驚いた。とっても美味い!どなたか、この店に行かれることがあったらぜひお勧め。ちなみにレバーの燻製も美味しいですよ。平日の夕方なのであまり混雑はしていなかったが、大変優れた店だ。ぜひここに取材をお願いしよう。(取材の前にもう一度日曜日にお邪魔したのだが、早い時間から大変混んでいた。座敷の奥では何かの記念日なのだろう、二組の家族が子供も入れて宴会を開催しており、いかにも地域に根ざした店という感じだ。後は番組でご覧ください。)

 中の町に戻り、これも前出の雑誌カラカラに載っていた「おでん小町」に入った。カウンターと小上がりが二つ。こじんまりとした店だ。カウンターには家族連れのお客さんが四人ほど。子供もいる。このお店も家族ぐるみのお付き合いなのだろう。とてもほほえましい。入り口近くのカウンターに座り、再びオリオンビールをもらった。そして、名物のテビチだ。トロトロに煮込まれたテビチの美味しいこと。以前取材した那覇の「おでん東大」のものよりちょっと味が濃いが双璧だろう。そして、野菜。沖縄のおでんの店には必ず野菜がある。その日によって野菜の種類は変わるのだが、どこでも野菜と呼んでいる。今日の野菜はレタス。この生のレタスをおでんの鍋に、ほんの十数秒浸けるだけ。しかし、これが美味しい。東京や関西のおでんでは、まずお目にかからない。やったら必ず受けると思うのだが、なぜやらないのだろう。疑問だ。子供の横でおでんを食べていたお父さんが、タバコを吸いに私の隣に移動してきた。何とはなしにテビチの話になり、マスタードとタバスコを勧められた。テビチのおでんにマスタードやタバスコを付けて食べるなんて聞いたことも無い。しかし、試してみるとなかなかだ。(皆さんも小町でテビチを食べるときは、試して欲しい。人によってはカラシより気に入るかもしれません。実は私も気に入っています。)さらに、話は続き、コザの名前の話になった。なぜ沖縄市に名前を変更したのか?コザ市のほうが良かったのに。日本唯一のカタカナ表記の名前に住民はみんな愛着があったという。本当か嘘か知れないが、名前を戻そうという運動もあるとか。姉妹二人で営業されているのだが、お二人とも肌がつやつやでとても若々しく、お客さんとの会話もとても楽しい。この店にお願いしよう。(後は番組でご覧ください。)

 もう一軒、沖縄では珍しく日本酒の揃えが良い有名店に行って見よう。中の町の坂を上がった一番奥にある「かめや」だ。入り口から店内まで民芸調で、靴を脱いで上がると、真ん中にカウンターがあり、それを取りか組むように4人席が入れ込んである。いい時間なのに客はいない。かなり広い店なので、まさかテーブル席に一人で胡坐をかくわけにも行かず、カウンターに座ろうとすると、仲居さんが、「監督のお連れさんですか?」と聞いてきた。何の事だか分からなかったが、「いいえ」と答えると、どうぞとカウンターを勧められた。メニューをのぞくと日本酒の揃えはなかなかだ。種類は少ないが、日本全国の酒がある。ここは、銘柄を言うのではなく、燗酒を注文。何が出てくるのか楽しみだ。そして、三枚肉と昆布の煮付け。メニューを置いて店内を眺めると、東北の居酒屋で飲んでいるような感じだ。なかなか落ち着く。しかし、お客さんが私一人なのでかなり寂しい。ご主人でも現れてお話できればいいのだがと思っていると、奥から聞き覚えのある声が聞こえた。なんと、山本浩二広島カープ監督の声だ。間仕切りで隠された奥から聞こえてくるので、姿は見えないが、紛れも無く監督だ。それで監督のお連れさんですか?と聞かれた分けが理解できた。折りしもプロ野球キャンプの真っ只中。カープはここコザでキャンプをはっているのだ。ご主人は、監督と話をされていて、こちらには出てこないようだ。まあ、山本監督がお客さんでは仕方の無いことだろう。そうこうするうちにお酒と肴が現れた。燗酒はぬる燗でちょうど良い。三枚肉と昆布の煮付けも日本酒の肴にはもってこいだ。惜しいことに、奥の声が気になって銘柄を聞くのを忘れてしまった。暫らく、酒と肴のマッチィングを楽しんだのだが、お客さんは誰一人としてこない。一人来たかと思えば、監督のお連れの方だった。ご主人は相変わらず監督の相手をしている。もう少し、お客さんのざわめきがあれば、それをBGMに飲めるのだろうが、寂しいので退散することにした。よさそうな店なので、また今度お邪魔しよう。

 もう、居酒屋の当てはないので、バーだ。人に聞いていたバーでその名も「コザバー」。国道330号線の大通りに面したそのバーは、カウンターだけの小さな店。店内はほとんど真っ暗で、酒をミキシングするカウンターの一部だけが照らされている程度だ。もう、9時近くだというのに、ここもお客は私一人。ジントニックをお願いし、若いマスターと話をすると、なかなかさばけた面白い若者だ。こんなに暗くちゃ飲み物が見えないよと話しかけると、前のマスターが暗いのが好きで、そのままなんです、と笑っている。いただいたジントニックはしっかりした味で、どこかでしっかりと修業をしたと思わせるものだった。コザのバー事情について少し話を聞くと、老舗といえるバーは少なく、若いマスターが多いようだ。まだ時間も早いので、幾つか回ってみよう。

 コザバーから一番近くの「B.B. KING」へ入ってみた。二階への階段を上がり、ドアを開けるとなかなかシックなバーが現れた。正面はカウンターで、バックバーはボトルで埋め尽くされている。ボックス席も幾つかあるが、ユニークなのは、メインのカウンターに加えて、もう一つ小さいカウンターがあることだ。メインのカウンターに座り、気分を変えてバーボンウイスキーを飲んでみた。ここも客は私一人。こんなに沢山の酒場があるのに飲み歩く人がいないのかな?久しぶりのストレートをぐびぐびやりながらマスターに聞いてみると「まだ、時間が早いからです。」との答え。なんと、コザの人々は11時ぐらいから飲み始めるらしい。まあ、マスターとゆっくり話が出来るので好都合だが。先ほどのコザバーのマスターよりは、かなり経験が豊富なようで、年上ということもあろうが、立ち振る舞いが落ち着いている。ここは、シェイクする姿も見てみたい。ギムレットをお願いした。ハードシェイクから作り出されたギムレットは、研ぎ澄まされた刃物のようにきりっとして大変素晴らしい。この店にお願いしよう。(後は番組でご覧ください。)でも、もう一軒、女性バーテンダーがやっている店があると聞いたので、行ってみたい。

  B.B. KIGからデイゴホテルの近くのバーへ戻るにはかなりの距離がある。歩いて15分くらいだ。最後のバーの前にちょっとソバでも食べようと思い、立ち寄ったのは「愛」。店内は、意外に広く、お客さんはまばらだが何人もがあちこちでソバをすすっている。こんなに夜遅くにあまり多く食べると太ってしまうので、ここは小にしておこう。ソバを待っていると、3人連れが清算をしようとしているのだが、どうも女将さんがサインをねだっているようだ。スポーツ選手のような体格なので、やはり広島カープの選手なのだろう。まだ若手なので、名前は分からないが、飲みに出た後の一杯のソバと言うところか。お腹は減るだろうが、体調管理にもう少し気を使ったほうが良いのではないかな?さて、私のソバだ。小でも十分な量がある。沖縄は概して量が多い。食いしん坊には有難いだろう。さて味だが、大変美味しかった。ラーメンほど味が濃くないから、すんなりお腹に収まっていく。こんな店が東京にあれば、大繁盛間違いなし。でも、東京に進出すると、何で味、値段ともに変わってしまうのか疑問である。

 さて、最後のバーだ。中の町からデイゴホテルへ戻る途中。国道沿いの二階に「ボビーズ」はあった。広めの店内で、奥に大きく広がった窓が印象的だ。その窓から、国道を走る車が見えるので、なかなかロマンチックだ。とは言え、私は一人なので、カウンターに腰を下ろした。まだ若い、と言うよりちょっと幼い感じの残る女性が一人。彼女がバーテンダーなのだろう。内心、大丈夫かな?とちょっと不安だが、ホワイトレディーを頼んでみた。すると、なかなかの手捌きで、やさしいホワイトレディーを作ってくれた。どこでカクテルを勉強したの?と聞くと、「那覇のステアです。」との答え。そのバーには行った事がある。ひとしきりバーステアの話で盛り上がった。そうこうする内に、女性のお客さん3人連れが入ってきた。もう時間は12時近いのだが、どうも一軒目のようだ。やはり、この時間からコザの夜は始まるようだ。早くから飲んでいる私は少々眠くなってきた。もう潮時だろう。
 ホテルに帰ると、ロビーのインターネットで記者らしい人が原稿をどこかへ送っている。広島カープの記事かな?キャンプの時期に沖縄に来たのは初めてだ。楽天や巨人のキャンプ地は大勢のマスコミが押し寄せ大変らしいが、コザの町はあまり変わらないようだ。週末には、米軍が街に繰り出してにぎやかなようだが、平日はいたって静か。そんな、いつでも普通の生活を営んでいるようなコザの町で、ゆっくりと酒を飲めたことに、感謝感謝である。また来たいと思わせる街だった。

☆ニッポン居酒屋紀行ファイナルコラム → 1234567891011121314151617

☆続ニッポン居酒屋紀行コラム → 2345678910111213141516

☆新ニッポン居酒屋紀行コラム → 234567891011121314151617
☆ニッポン居酒屋紀行コラム → 234567891011121314151617

☆全国居酒屋紀行ファイナルコラム → 123456791011| 12 |13 |1415161718

☆全国居酒屋紀行コラム → 123456789 | 10 | 11121314151617


Copyright (c) 2010 JIC All Rights Reserved.

■旅チャンネルカスタマーセンター:03-3253-6611(平日10:00~17:00)   ■ご意見・ご感想   ■CM出稿等に関するお問い合わせ