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福島県は東京から割合近いが、どうも素通りすることが多い。この番組でも、会津若松へ一度お邪魔したきりだ。福島市や郡山市などの大きな都市があるにもかかわらず、酒を飲みに行くと言う感じではなかった。なぜだろう?と言う訳で、今回は郡山市と福島市の両方を回ってみた。実は、どちらにしようか迷っていたのだが、実際に行ってみて決めれば良いと、連日の下見となった。 |
| まずは郡山。郡山市は福島県最大の都市で、県庁所在地の福島市より人口は多いと聞く。駅前も綺麗に整備され、飲み屋街もかなり大きい。まずは、ホテルに荷物を置き、散策の場所を探しに市役所の方向へ歩き出した。開成山公園は広く、良く整備されていて、市民の憩いの場だ。近くに、おいしい蕎麦屋があると聞いていたので、寄ってみた。名前は確か「蕎屋」。市役所横の新しく開けた町にある新しい店で、まだ新築のような建物だ。新そばのざるを頼んだが、その美味しいこと。清涼感のあるそば独特の香りがさわやかだ。駅からはかなり遠いが、行ってみるだけの価値はあるだろう。 |
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| 駅の近くまで戻り居酒屋の探索に出発。地方都市にしてはなかなか大きな飲み屋街がある。時間はまだ早いのだが、4時から営業しているという「酒蔵金寶」へまず入った。昔ながらの大衆酒場で、入り口を入ってすぐにコの字のカウンターがあり、奥には小上がり。二階もあるようだ。とりあえず生ビールに煮込み、馬刺しも追加だ。白い割烹着のおばちゃんに聞くと、すでに40年以上の歴史があるという。酒を燗してと頼むと、金寶の自然酒が良いと勧められた。なかなか美味しい。馬刺しも煮込みも、長年続いてきたつまみなのだろう。みんな奇をてらうことなく自然体。店も高級ではないが、安心感がある。こんな普通の店が一番しっくりくるのは、自分が酒飲みの証拠かな?と妙な気分になった。 |
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| 次は、日本酒の揃えが良いと聞いた「台所門土庵」だ。一番の飲み屋街から道をひとつ挟んだ反対側にあった。カウンターだけの小さな店で、すでに何人かの客が飲んでいる。その中に入れてもらい、笹の川の吟醸酒をもらった。お通しはきゃらぶき。吟醸酒の派手な味にきゃらぶきの地味な味が良く合う。カウンターの中で料理を担当している女性がお母さんで、お酒をサービスしているのが息子さん?とも見える二人で次々と客の注文に応えている。私は、カツオの刺身と |
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| 次は、バーだ。アーケードの中に看板だけBARとある。その細い路地を入ると突き当たりにドアが待ち構えていた。「THE BAR WATANABE」だ。郡山にその店ありといわれる有名なバーで、私も何人かからうわさは聞いていた。店内はこれぞオーセンティックバーという風格あるインテリア。昔洋酒メーカーが販促用に作った小物が、あちこちに並ぶ。カウンターには女性のバーテンダーが立っていた。マスターは、ちょっと用事で出かけているらしい。作っていただいたジントニック、ギムレットは申し分のない味。まだ若いのにたいしたものだ。それほどマスターの教育が行き届いているということだろう。今回はマスターにお会いすることはできなかったが、すばらしい店だ。次回はぜひマスターのカクテルを飲んでみたい。 |
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| バーを出て、路地裏を歩いていると「どん底」という店を発見。外観は古い居酒屋なのでちょっと冒険してみよう。店内は炉辺焼き風のつくりで、熟年の男性二人。客は誰もいない。ビールと生のりで一杯やり、お腹が空いたので焼きおにぎりをお願いした。良くしゃべるご主人は、昔新宿のボルガで働いていたそうだ。それで、店名が「どん底」なんだと、変に納得。全共闘時代、新宿で働いていた話に時間も忘れ没頭した。 そのあと、かなり酩酊状態だったが、「K's 4th」と「アイカ」という二軒のバーにも寄った。どちらも若手のバーだが、しっかりしたカクテルを出す良い店だった。 まだまだ、よさそうな店は沢山あるのだが、今日のところはこの辺で引き上げるとしよう。明日は福島なので。 |
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| 次の日新幹線に乗り福島へ移動。とはいっても、次の駅なので、午前中のうちに着いてしまった。居酒屋はまだまだ開く時間ではない。時間もあるので、歩いて志信山へ向かった。ホテルのフロントででも聞いて来れば良かったのだが、歩く距離ではなかった。遠い!その後、岩谷観音へも寄ってきたので、ホテルに戻ったのは、もう4時近くになっていた。すぐさま、居酒屋探しに出かけたが、驚いたのは飲み屋街の広さだ。ホテルを出て、道を一つ渡ったところから始まり、一番奥の目指す居酒屋まで徒歩約5分。すべてが飲み屋街だ。郡山がすごいと聞いていたが、福島の方がすごい。人口は福島の方が少ないようだが、飲み屋の数は確実に福島の方が多い。下手すると、仙台国分町より多いのではないか?そんな気になるぐらい多いのだ。5時前なのでどこも開いていないが、駅から離れた所にも古い飲み屋横丁がいくつもあった。その中に一軒開いている店を発見。焼き鳥屋のようだが、覗いてみよう。「花娘」という名の店の扉を開けると、小さなコの字のカウンターだけの、古めかしい飲み屋だった。先客が一人、女将さんとしゃべっている。奥では、ご主人がテレビを見ている。ビンビールと仔牛を焼いてもらった。(焼き物は5本づつだそうで、一種類しか頼めませんでした。焼き鳥ではなく焼牛だったが。)この辺が福島で一番古い飲み屋街で、40年経つこの店しかもう残っていないことなど、たわいもない話をしながら、5時を待った。 |
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| 目指す店は「たこ寅」。5時開店と聞いていたので、5時ぴったりに店に入った。50年の歴史を持つ店で、おでん専門。とはいっても、つまみも酒も居酒屋以上に揃っている。店内はかなり広く、長いカウンターに小上がりがいくつか。客はまだ誰もいないので、開店直後のきりっとした空気が大変よろしい。まずは末広の燗、お通しは鮭の三平汁だ。これはうれしい。だいぶ寒くなってきたので、暖かいお通しは何よりだ。よく見ると、カウンターがすごい。長さ6〜7メートルもあろうかという一枚板。それも厚い。良く運び込んだものだ。その奥に鎮座したおでんのなべがまた素晴らしい。ねたも美味しそうなのだが、なべの中に竹篭が入っている。下の方のねたは、その竹篭を上げて探すのだそうだ。大根、つみれ、豆腐を食べたが、どれも美味しく出汁が効いている。おでん屋さんはどこへ行っても優れているのだが、この店は特に良い。三代目のご主人は、まだ若いが人柄が柔和で話していても楽しい。酒を奈良萬に変えてしばらく楽しんだ。 |
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| まだまだ早い時間なので、もう一軒古そうな居酒屋に入ってみた。先ほどの焼き鳥屋さんの並び、「磯」だ。店内はカウンターのみ。その上と言わずいたるところが、なんだかわからない小物で埋まっている。ビールと冷奴をつまみながらおしゃべりすると、猥談のオンパレード。ご主人はお世辞にも若いとはいえない年なのだが、出るわ出るわ、次から次と。最初に入った時、奥に若い女性がいたのだが、すぐに出て行ったので、娘さんが遊びにでも来ていたのかなと思ったら、なんと奥さん。そして、その女性がちょっと預けていった子供(幼稚園ぐらいかな?)は孫では無く、なんと実の娘さん!驚いた。たぶん太田さんと同じぐらいの年なのだが、元気なものだ。店を出るときに、結婚は何回目?と冗談半分に聞いたら、指を折りながら「もう数え切れない。」と笑っていたが、あながち本当かも。恐れ入りました。 |
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| そろそろバーが開く時間なので、名店と聞いていた「山小屋」を目指した。入り口はその名の通り山小屋風。店内もログキャビンを思わせるような内装で統一されている。この店を40年以上前に作ったとはすごいマスターだ。若手のバーテンダー氏がジントニックを作ってくれた。マスターはもう少しで現れるという。現在のマスターは二代目で、先代のマスターが他界されたので、請われて戻ってきたとある本で読んだ。まだ客は私一人。バーでも居酒屋でも、早い時間のまだ客が居ない雰囲気が好きだ。ゆっくり酒を楽しむのも、ご主人やマスターとじっくり話をすることもできる。すると、黒いスーツで身を包んだ巨漢のマスターが現れた。ちょっと想像とは違ったが、私の注文したギムレットを素晴らしいハードシェイクで作ってくれた。大変美味しい。ギムレットは飲みつけているので、比較しやすいのだ。マスターに、バーを紹介してもらい、ついでに居酒屋についても聞いてみた。すると、大変ユニークな店があるという。その名は「磯」。なんと、さっき行った店ではないか。確かに大変ユニークだ。マスターと二人で大笑いをしてしまった。 |
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| 駅のほうに戻り、教えていただいた店に行ってみた。店名は「○○支店」。この○○が思い出せない。外見、店内ともに相当古く、ご主人も80歳になろうかという高齢だ。煮込みとビールで一杯やり、先客とご主人のやり取りを聞いていた。いかにも地方の居酒屋の会話で、私など何を言っているのかさっぱりわからない。(言葉というより、内容があまりにもローカルなので)あまり長居しても収穫はなさそうなので、近くにある「だんだん畑」に足を向けた。 |
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| 福島の一番の繁華街らしき道を歩くと客引きが多い。早い時間はあまり居なかったが、この時間になると真っ直ぐ歩けないほどだ。その中を何とか「だんだん畑」にたどり着いた。スナックが多く入っている雑居ビル街の真ん中にぽつんとある一軒家。引き戸を開けると外の喧騒から隔離され、落ち着いたカウンターだけの店が現れた。客はまたしても私一人。熱燗をお願いすると、豪華なお通しが出てきた。煮物や焼き物3品から4品はある。ご主人と奥様、二人でやっているようだが、お客さんが居ないので手持ち無沙汰。あれこれ聞くうちに、ご主人は大変ユニークな経験の持ち主だと分かった。若いころから、イタリアや東京で日本食の仕事にたずさわり、飛行機から見た段々畑に感動し店名にしたことなど。お通しだけでは申し訳ないので、地鶏焼きを食べてみた。これが大変美味しい。地鶏焼きといえば宮崎だが、宮崎のものは野生的で、強火の炭火でぼうぼうと焼く。ここの地鶏焼きは繊細にじっくりと焼いたもの。酒の肴にぴったりだ。周りはほとんどスナックの歓楽街だというのに、貴重な店が残ったものだ。 |
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| 後は「山小屋」で教えていただいたバーを回ってみた。相当古いバーで「スコッチ」。ビルの地下にある店で、長いカウンター一本の店だ。マスターやママもかなり年季が入っている。現山小屋のマスターが開いた「バーヤマグチ」。センスの良い洒落たバーで、女性のお客さんが多い。実際、私がお邪魔したときもほとんどが女性だった。こんなおじさんが一人で飲んでいると恥ずかしいので、早々に退散したが。 |
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| 最後に、「山小屋」に戻ると、「たこ寅」のご主人が店の片づけを済ませて飲みに来ていた。山小屋のマスターと三人で何の話をしたのか良く覚えていないが、深夜まで楽しい時間を過ごさせて頂いた。 今回は、郡山と福島を回ってみたが、地方にはそれなりの美味しいものや酒があり、何にもまして人と人の繋がりがある。これが一番ではなかろうか。一人で飲み歩いても、どこか人のぬくもりを探している自分に気づく。そんな旅ができたことを嬉しく思う。で、さんざん郡山か福島か迷った挙句、結局福島にしたのは、二回目の「山小屋」が温かく迎えてくれたことによるかも知れない。 |
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