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前回の米子に続いて、山陰シリーズと言うことで、島根県益田に向かった。益田という土地には全く不案内だが、石見地方と聞くと、萩や津和野の近くだなと分かる。それくらいの知識しかなかったのだが、ある方から「凄い店が、益田にある」と聞いていたので、米子から特急に乗った。その特急はなんと、二両編成。多分一両編成の特急は無いだろうから、日本最小編成の特急だ。益田に近くなると、線路は日本海に沿って走るので大変景色が良い。夕暮れ時ならばもっと綺麗だろう。やはり列車の旅は良い。飛行機だとこの車窓からの眺めを堪能できない。
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| 益田駅に降り立つと、やはりかなり小さな町だ。しかし、今回は3軒の店を教えていただいているので、そう苦労はしないだろうと思いながらホテルにチェックイン。早速、散策の場所の下見に出かけた。益田には、歴史上の有名人が二人知られている。一人は柿本人麻呂。もう一人は雪舟。私はあまり歴史には詳しくないが、この二人の名前は当然知っている。雪舟の絵は何度か見たこともあるので、雪舟が造ったと伝えられる庭園を見に行こう。医光寺と言うその寺の裏山を利用してその庭は出来ていた。池の上にツツジが植えられ、左右にはシダレザクラとモミジの大木が構えている。しかし、たずねた時期が悪かった。ツツジは咲いていないし、シダレザクラも葉桜。モミジの紅葉にはまだ早かった。まあ、雪舟の庭を見られただけでもよしとしよう。本番のロケの時には、モミジが色づいていてくれると良いのだが。 |
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| 町へ戻ると、雨が降り出した。まだ時間も早いので、居酒屋の場所だけでも調べておこうと駅前から歩き出すと、直ぐに一軒目の「かすり」が見つかった。そして、二軒目の「バー2014」も直ぐ近くにあった。これは便利だ。歩いて移動が出来る。ついでに、「田吾作」も見ておこうと歩き出したが、こちらはちょっと遠い。駅前から歩いて10弱はかかった。雨の中にたたずむ重厚な建物は、ちょっとした旅館のようだ。中ではもう支度が始まっているようだ。 |
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| 一度ホテルへ戻り、「田吾作」に電話を入れると、4時なのにもうやっていると言う。これはラッキー。直ぐにでも下見が始められる。(後で聞いた話だが、この「田吾作」は昼から休み無しで夜まで営業しているらしい。昼間から酒が飲めるのは良いことだ。とは言っても、そんなことをするのは私ぐらいだろうが。)早速、ホテルから歩いて「田吾作」へ向かった。玄関を入ると、直ぐに下足箱があり、そこへ靴を入れる。よく銭湯などにあった木の札を使う昔のものだ。そこから、階段を下がると、大きな水槽があり、イカや魚が泳いでいる。その左側に自然木を使った重厚なカウンターがあり、奥にはいくつもの部屋がある。言ってみれば、カウンターはウェイティングバーなのかもしれない。まだ早い時間なので、当然客は私一人。カウンターの中の広い厨房では、女将さんらしき方と若者が夜の仕度に余念が無い。まずは生ビールをいただき、水槽の中で元気に泳いでいるイカを刺身にしてもらった。突き出しは、カウンターの上に並んだ野菜の煮物だ。どれにしましょうかと聞かれたので、ナスをお願いした。出汁の味がしみこんで大変美味しい。そこにイカの活き造りが出てきた。丸ごと一匹を氷の上に豪快に並べてある。一人で食べきれるだろうか?口に入れるとこりこりだ。まだ活きている。これはうまい!もうこの時点で、この店に取材をお願いしようと決めていた。酒を扶桑鶴の燗に変え、もう一つ何かを食べてみよう。活きウニというメニューがあるので「いくつですか?」と女将さんに聞くと、「一人前3つだけれど、一つでも二つでもいいよ。」と気軽に応えてくれた。まだ他の店でも食べなければならないので、ここは一つだけお願いした。水槽から一つだけ取り上げてきた女将さんは、「開けてみないと、詰まっているかどうか分からないのよね。」と言いながら、ニコニコしている。そして、中身が詰まっていることを確認すると、「良かったー。沢山詰まってる。美味しそうでしょう?」と見せてくれた。イカと同じように氷をひき詰めた器に、剥きたてのウニが並んで出てきた。一口口に入れると、あま〜い。先日利尻島で食べたウニに勝るとも劣らない。店の造りの豪快さ、女将さんの人柄、そして、なんと言っても料理のうまさ。この店は是非取材させていただかなければと思いつつ、次の店に向かった。 |
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| 次の店も昼間の内に場所を確認してあったので、迷わずに辿り着いた。「かすり」と言う文字が波の模様に浮いているような看板がとても良い感じだ。店内は、小さなカウンターを大きい小上がりがL字型に囲んでいる。まだ時間が早いのか、お客はカウンターに一人だけだ。私は一人だが、小上がりに上がり、一人で四人用のテーブルを独占した。まずは、かすりと名のついたオリジナルボトルの日本酒を冷でいただいた。中身は扶桑鶴の大吟醸だそうだ。アジの叩きと、鮎の塩焼きを注文し、待つことしばし。壁に貼られた日本酒のメニューを眺めていた。日本中から銘酒といわれる地酒が勢ぞろいだ。良くこれだけの酒を集めたものだ。よほど良い酒販店を知っているのだろう。そのうちにカウンターの客も帰ってしまった。どうも知り合いが食事をしていたようだ。アジの叩きが到着し、日本酒と合わせると最高だ。更に、鮎の塩焼きも出来上がり、ますます酒がうまくなる。あっという間に酒は無くなり次の酒だ。鷹勇を燗していただくとこれがまた旨い。一人で寂しく飲んでいたのだが、これだけの肴と酒があれば言うこと無しだ。本当に美味しいものは一人で静かに味わうのも良いかもしれない。しかし、時間も6時を回ったのに誰もお客が来ない。不思議だ。これだけ良いものを出しているのに。(後で聞いたのだが、この日はたまたまお客が少なかったようで、一年に一回有るか無いかだったようだ。実際、ロケの当日は予約で小上がりは満員だった。)十分、酒と肴を堪能し、お勘定を済ませようと立ち上がり、ご主人と話をした。ご主人は日本酒が好きで、どんどん種類が増えていったことなど、気さくに話してくれるのだが、厨房ではもくもくと料理を作る職人のような性格の方だった。 |
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| これで、二軒良い居酒屋が有ったので、後はバーだ。これも聞いていた店「バー2014」に向かった。2014とは不思議な名前だが、どうも住所のようだ。ドアを開けると照明を落とした、薄暗い空間が待っていた。カウンターの中には黒いジャケットを着たマスターが一人。お客はいない。バーなのでもっと遅い時間にならないと賑わわないのだろう。ゆっくり話が聞けるので好都合だ。ジントニックをお願いし、はなしを聞くと大阪のホテル出身との事。どうりで立ち振る舞いがきりっとしているはずだ。町場のバーと違い、その辺の教育はホテル特有のものだ。出来上がったジントニックも真に美味しい。マスターはこの近くの出身で、18歳からホテルで働いており、大阪のホテルから浜田のホテルへ移り、7年前からこの店を始めたという。続いていつも通りギムレットを作っていただき、飲んでみた。これまた、きりっとして目の覚めるようなギムレットだ。居酒屋2軒でも番組としては成立するが、良い店なので取材させていただこう。 |
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| 外へ出るとまだ時間も早く、これから飲みに出かけようとする人たちが街中を歩いている。しかし、私はもう3件はしごし、十分に満足した。今日はおとなしくホテルに引き上げよう。3軒が3軒とも良い店だった。こんなに早くロケハンが終わったのは初めてではなかろうか?(後は番組でご覧ください)情報をいただいた方に感謝感謝である。 |