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沖縄には、何度かお邪魔しているが、その手前の奄美大島にはまだ行ったことがなかった。奄美と言えば黒糖焼酎。最近人気の出てきた黒糖焼酎の産地に行かない手は無いので、早速飛行機に飛び乗った。 |
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| 空港でレンタカーを借り、まず向かったのは「みなとや」。鶏飯の元祖といわれる店だ。東京で食べたことはあったが、地元で食べる鶏飯は違うだろうと、昼飯に食べてみた。 広い店内に座敷が広がり、テーブルがいくつも並んでいる。しかし、お客さんは誰もいない。私が口開けの客のようだ。ぽつんと一人大きなテーブルに座ると、鶏飯でよろしいですか?と仲居さんが聞いてきた。やはり鶏飯目当ての客ばかりなのだろう。私もハイと答え、鶏飯を待った。 大き目の皿に鶏肉や錦糸卵の具材が並び、おひつのご飯と、鉄鍋に入ったスープが出てきた。ご飯を丼に少なめに盛り、具を並べる。そして、スープを掛けて食べるのだが、その美味しいこと。鳥のスープなので中華風のお茶漬けのようだ。あっという間に一杯食べてしまい、二杯目に突入だ。残った具材を全てご飯に乗せて、スープをいっぱいになるまで注いだ。ご飯も具もかなりの量なのだが、あっさりと胃袋に収まった。これは良い。そんなに凝った料理でもないので、自宅でもできるだろうと思ったが、そんなに甘くは無いかもしれない。 |
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| 名瀬市内に入り富田酒造場を早速尋ねた。都会では人気の黒糖焼酎、それもあの龍宮の蔵なのでさぞかし立派かなと思いきや、沖縄の春雨同様とても小さな蔵だ。しかし、酒作りにはとてつもない情熱を傾ける富田さんは熱い方だった(熱い情熱も春雨の宮里さんと同じだ)。原料に対するこだわりや、水、作りなどに対して、妥協は許さない。そして、独自の方法で旨い酒を作り出す。お話を聞いているだけで、旨さが伝わってくるようだ。ここで、一度富田さんと別れ、ホテルに入った。夕方「一村」という店で待ち合わせしたのだ。 |
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| 夕方、富田さんとの待ち合わせにはまだ時間があったのでホテル近くの「晩酌」に入ってみた。名前が気に入ったのと、外観がとても古そうだったので、情報も何もなく戸を開けた。 店内はすし屋のようなカウンターと小上がりがいくつか。二階もあるようだ。まだ誰もいないカウンターに座り、生ビールをいただいた。突き出しはナマコ。冬のナマコはやはり美味しく、日本酒の燗が欲しくなってしまう。居酒屋にしてはちょっと雰囲気が違うので聞いてみたら、なんと45年も営業している老舗だそうだ。しかも、以前は味銀という割烹料理屋だったが、儲からないので、店名を変えて居酒屋にしたという。何気なく入った店にもすごい歴史があった。 お刺身を何かとお願いすると、オナガダイの刺身があるという。これは珍しい。東京ではめったにお目にかかれない代物だ。白身で淡白だが、味はある。オナガダイを食べたというだけでも価値はあるだろう。とご主人はおっしゃっていたが。映像が無くて大変残念。近々行かれる方がおられましたらぜひ頼んでみてください。) |
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| もう一軒、これはインターネットで調べておいた「若大将」に入ってみた。こちらも老舗らしく、もう20年以上も営業しているらしい。ドアを開けると予想以上に大型の店で、ガラスケースを囲んで20席ほどのカウンターとテーブル席がいくつか、さらに小上がりもある。ガラスケースの外には氷の上に新鮮な魚が並べられている。 カウンターの端に座ると、中の若者が注文をとってくれた。まず生ビールをお願いすると、一緒に出てきたお通しはジーマミ豆腐だった。ジーマミ豆腐とはピーナッツの豆腐で沖縄の名産だ。奄美大島でも作っているとは意外だった。メニューにシビとあるのを発見。シビとはマグロの小さいやつだと記憶していたので聞いてみるとキハダマグロの幼魚だと答えてくれた。 ついでに、お兄さんにアルバイト?と聞くと、なんとご主人の息子だそうだ。ご主人は、厨房で料理を作り、カウンターで焼き物をするのが息子さんの役目、そして、お母さんとアルバイトがホールを見ているそうだ。家族で切り盛りをする典型的な居酒屋だ。息子さんが生まれたときにこの店がオープンし、それ以来22年間ご主人とお母さんが切り盛りしてきたと言う。息子さんは博多で料理の修業を終えた後、最近戻ってきたのだ。その話を聞いただけでよい店だと確信した。使用人ばかりで営業している店より気合が入るのは当然だから。 ビールも飲み終わり、黒糖焼酎へ酒を変えた。まんこいのロックだ。まんこいとは怪しい名だが、この地方の方言で「よく来たね」と言うような歓迎の言葉らしい。黒糖焼酎独特の甘い香りが鼻をくすぐる。地元で飲む黒糖焼酎はまた格別と言うものだ。刺身のシビもとても美味しい。近海で捕れた物らしく、さくさくとした歯ごたえが堪らない。最後にご主人に取材のお願いをして、富田さんの待つ「一村」へ向かった。(後は番組でご覧ください) |
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| 「一村」は町のはずれ、すぐそこまで山が迫っているところにあった。ドアの周りに植物がからまり、まるで山小屋のようだ。店内も木を基調とした内装で、とても落ち着く。富田さんは早々とカウンターで龍宮を飲んでいた。自分で醸した酒を居酒屋で飲むのはどういった感じなのだろう。私も富田さんの隣に陣取り、早速龍宮のロックをいただいた。この店では、カウンターの中に大きな甕が二つ並んでおり、それぞれ龍宮と長雲が寝かせてある。その甕からひしゃくですくって出してくれる。先ほど飲んだまんこいよりこくがあり、大変美味しい。富田さんに「おいしいですねー」と話しかけると、「そーですか。ありがとうございます。ハハハハハ」と嬉しそうだ。手塩に掛けた酒を褒められて悪い気がするはずも無いが。 料理は富田さんにお任せで、にんにくの茎のチャンプルー、アオサのかき揚げをいただいた。どれも沖縄料理に近いが、ちょっと違う。しかし、美味しい。黒糖焼酎に合わせてあるのだろう。どんどん酒が進む。 富田さんとばかり話していたが、どんどんとお客さんが入りたちまち満員になった。ご主人や女将さんと話す余裕がなくなってしまった。仕方が無いのでゆっくり酒を楽しんだ。長雲の甕もいただいたが、こちらも龍宮に勝るとも劣らない優秀な酒だ。どちらの酒も地元では置いている店が少なく、逆に東京などのほうが手に入るという。春雨のように地元では幻と言われないようにして欲しいものだ。しこたま酔っ払って店を出るときに、ご主人に取材をお願いしたのだが、私のほうが良く覚えていなかった(後は番組をご覧ください)。 |
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| もう二軒決まったので、後はバーにでも行ってみよう。先ほどの若大将で聞いた「レモンハート」だ。これだけ多くの飲み屋があるのだから、バーの一軒や二軒あるだろうと思ったのだが、インターネットでは全くと言って良いほど見つからなかった。やはり地元の口コミが一番。しかし、富田さんは知らないと言う。まあ入ってみなければ分からないと言うことで、「一村」のすぐ向かいのドアを開けた。 店内は黒を基調としとてもシックな雰囲気。カウンターが一本だけの小さい店だが、本格的なバーだ。ジントニックをいただき、一息ついた。タバコに火をつけると、YANAGASEの灰皿が出てきた。きょとんとして「これは神戸の店の灰皿ですか?」と聞くと、「そうです。私あそこで働いてましたから」と驚くような答えが返ってきた。神戸の名店、あのYANAGASEだ。居酒屋紀行でも取材させていただいたことを思い出した。これは奇遇だ。 もう一杯カサブランカをいただいたころには酔いが回ってきて、何を話したのかすら覚えていない。失態だ。名刺だけは交換してきたはずなので、また後日電話すればよいと思いつつ、ホテルのベッドに横になった。 |
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| しかし、次の日、名刺入れを探しても名刺がない。今日はもう昼の飛行機で奄美大島を立つので、どうしようもない。まあ、居酒屋が二軒決まっているので、仕方が無い。あきらめよう。実は、3軒だと編集が大変なのだ。限られた時間なので、一軒あたりの時間が短くなる。すると、店の良さを伝えるのが大変難しいのだ。できれば、24分の番組の中で2軒がベストだと考えている。と言うことで、今回はバーは無しで、居酒屋2軒と言うことでご勘弁いただきたい。 |
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