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前回の福島に続き、冬の東北シリーズということで、仙台へ向かった。仙台はこの居酒屋シリーズでは3回目。かなり歩き回った街だ。それでも、まだまだ知らない店は多く、今回も初めての店から行って見た。 |
| 太田さんが仙台の知人から聞いたという「かつら」は、国分町の中心にあった。ビルの3階(だったかな?)にあるのだが、店内は立派なカウンターを備えた、小料理屋風だ。カワハギ料理が有名ということで、まずはカワハギの肝和えをお願いした。本当は日本酒の方が合うのだろうが、私はまずビールだ。カウンターの中が良く見えるので、ご主人が料理を作るのが手に取るように分かる。カワハギを丁寧におろし、別に作ってあった肝たれに絡める。その肝たれは、たぶん酒などを加えているのだろう、とても美味しそうだ。生ビールをぐいっとやりながら、一切れ口に含むと、濃厚な肝の旨みとこりっとしたカワハギの刺身が絶妙のハーモニーだ。これは日本酒にしなければもったいない。せっかくなので、カワハギのひれ酒をお願いした。そして、南蛮味噌も。ちょっと居酒屋と呼ぶには高級感があり、ちょっと気取った雰囲気だが、どなたかとしっぽりやるにはとても良い店だ。 |
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| もう一軒、太田さんからの情報で近くの「笑仙」へ行って見た。以前取材させていただいた「かん」のすぐ近くだ。というより隣のビル? 居酒屋には珍しく、今度は地下だ。しかし、入り口も店内もとてもビルの地下とは思えない。古い木材や置物が、立派な一軒家の居酒屋を思わせる。奥の小さなテーブルでは大学教授らしき方を囲んだ宴会が始まっていた。私は一人、カウンターに腰を下ろし宮城の銘酒、乾坤一を燗でいただいた。合わせるのは松島の牡蠣だ。小ぶりだが、小鉢にいくつも牡蠣が入っている。店をやっているのはご夫婦で、話を聞くと、以前はお客さんだったとか。前代の親爺さんが他界され、しばらく奥様だけで営業されていたらしいが、歳には勝てず、今のご主人夫婦に白羽の矢が立ったそうだ。黙々と料理を作るご主人と、お客の気をそらさない接客上手な女将さんのコンビがとても良い。店も広すぎず狭すぎず、二人で営業するには、ちょうど良い大きさだ。先代から数えると50年を超えるそうで、素晴らしい店が残っていたものだ。(後は番組でご覧ください)。 |
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| 次は、少し離れているが、飲み屋横丁として有名な文化横丁へ向かった。以前お邪魔した「源氏」の近く、「やくみ家」だ。以前より太田さんが気に入っている店だが、私は初めてだ。 いかにも居酒屋風の入り口を入ると、年季を感じる店内が目に飛び込んだ。右にカウンター、左手は小上がり風のいくつかに区切ったテーブル。隠れ家のような空間はとても落ち着く。開店時間が遅いようで、まだ客は居ない。カウンターの一番奥へ座り、栗駒山を頼んだ。カウンターの中ではご主人が仕込みの最中だ。見ると、素晴らしい白子をさばいている。美味しそうですね、と声をかけると「今日のは特に良いですね。」との答え。これは頼まないわけには行かない。栗駒山と白子酢。考えただけでもよだれが出そうな組み合わせだ。実際食べてみて、その素晴らしさを実感した。白子は大好きなものの一つ。酒がどんどん進む。次は田酒の山廃を燗にしてもらった。これがまた旨い!日本酒の揃えも良いし、カウンターの上には美味しそうな肴がたくさん並んでいるし、是非取材をさせていただきたいものだ。(後日、電話で取材のお願いをしたのだが、ロケの予定日に別の店のオープンが重なり、やむ無く涙を呑んだ。) |
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| 再び、国分町方面へ戻り東一連鎖街に入った。連鎖街とは変な名だが、細い路地が3筋あるいわゆる飲み屋横丁である。ビルは一つも無く、戦後すぐを思い起こさせるような雰囲気だ。その中に、仙台に来るたびに寄るバーがある。「時浪屋」だ。神尾正次郎さんと言う男が、ほとんど手作りで作った店だ。店内は、男なら誰でもあこがれる、隠れ家のよう。小さなカウンターに小さなテーブル。二階もあるが上がったことはない。今は、若手のバーテンダーが店を仕切っているが、以前は神尾正次郎氏本人がシェーカーを振っていた。以前他のバーで聞いた話では、彼は仙台の飲み屋業界で一番有名な人だそうだ。それほど、ユニーク且つバイタリティーあふれる人間だ。 いつものようにジントニックを頼むと、ジンはブードルズを使っていた。ブードルズジンを使うのは珍しいが、大変美味しい。先客は和服の若い女性が一人。ラッキー!と言ってもゆっくり呑んでいる時間はない。正次郎さんが居る隣の店にも行かなくてはならない。何しろ彼がオーナーなのだ。店を出るとき、次に行こうと思っているバー「ラルカンシェル」の場所をバーテンダー氏に聞くと、和服の女性が、「良い店ですよー」と笑顔で声をかけてくれた。返事代わりに「これからご出勤ですか?」と冗談半分に言うと。「いえ、趣味なんです」と。和服を着て一人でバーに飲みに来るなんて、なんて粋な女性だろう。もう少し、飲みたかったが、隣の「正ぶんぶん」へ向かった。しかし、「正ぶんぶん」は満員。オーナーである神尾正次郎氏に、取材のお願いをし、先ほど教えていただいたバーへ向かった。(後は番組でご覧ください)。 |
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| 「ラルカンシェル」とはフランス語で虹の意味。国分町の真ん中、ビルの地下にその店はあった。インテリアは「時浪屋」とは対照的で、超近代風。ガラスを多く使ったクールな仕上がりだ。ギムレットをいただいたが、カクテルも素晴らしく切れの良いクールな味だった。マスターも他のバーテンダーも若いが素直な立ち振る舞いで、客が安心してくつろげる。これからの仙台バーシーンを引っ張っていく店だろう。 |
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| その後、いかにも昔からのイギリスパブ風の店「木馬館」、近代風に引き締まった「バー・カワゴエ」、仙台バーの生き字引のような老バーテンダー氏の店「るぱん」と回った。どの店も個性的でもう一回行って見たい店ばかりだ。 |
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| もうかなり遅い時間になってしまったが、最後に一軒寄ってみたい店があった。「重箱」である。インターネットのブログにある人が書いていたのだが、安くて量が多いと評判の店のようだ。国分町からはかなり離れたビルの地下にある店だが、まだやっているのだろうか? 看板の電灯はまだ点いているが、客は誰もいない。何の変哲も無い居酒屋風のカウンターで、ご主人らしき方が片づけを始めていた。「まだいいですか?」と声をかけると、「今ちょうど宴会が終わって、片付けてたところ。誰も来なければ、今日はもうおしまいにしようかと思ったけど、いいよ。」と迎え入れてくれた。バーを何件か飲み歩いた後なので多少腹が減っている。最後のビールをもらって、クジラ刺しをお願いした。そのクジラ刺しも美味しかったのだが、閉めにと思い注文した、クジラ汁が絶品であった。大きなお椀にクジラのベーコンが沢山入っており、さらに野菜と味噌の具合が大変素晴らしい。ご飯が欲しくなる味だ。ためしに「ご飯はありますか?」と聞いてみると、「どんぶりでいいかい?」と白飯を出してくれた。カウンターの後ろに張られたメニューはどれも美味しそうで、安い。今日はもう食べられないが、今度来た時には端から食べてみたい。聞くと、30年もここで営業しているという。もうほとんど飲み屋の火が無いこんなところで30年とはすごい店だ。ただ、もう少し日本酒の揃えを良くして頂ければ問題は無いのだが。 |
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| 仙台は大都会だけあって良い居酒屋、バーが多い。それも東京より数段肴が旨い。大都会の居酒屋の刺身など、あまり勧められたものではないが、仙台と福岡だけは違う。さすがに古くから新鮮な海産物を食べていた土地だ。私もこんなところに住みたいなーと思いながらホテルに帰るのだった。 それにしても、あのクジラ汁は旨かったー! |
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