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静岡県は静岡市を始め、清水、焼津と3回訪ねた。今度で4回目。東京を除けば最も多い。なぜかといえば、なんと言っても魚と日本酒が美味しいからだが、東京から近いというのも一つの理由である。沼津は東京から新幹線を利用すれば1時間。十分日帰りができる距離である。どこから仕入れたか分からないような魚と日本酒を飲むのであれば、ちょっと足を伸ばして静岡まで行って飲んだほうがよっぽど良いかもしれない。
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| ということで、沼津へ旅立った。新幹線を三島で東海道線に乗り換えすぐだ。ちょうど昼時なので、ロケハンの前に腹ごしらえだ。アーケード街のはずれの「山源」という店に入った。沼津には有名なかき揚げ天丼の店や、港近くには沢山のすし屋が軒を並べるが、店頭に貼ってあるメニューの地魚天丼が気になったのだ。居酒屋のような作りの店で、働いているのは全員女性。早速地魚天丼を頼むと、味噌汁は普通のか、それともあら汁にしますかと聞かれた。何とはなしに、あら汁をお願いし、天丼を待った。カウンターの奥には徳利が並んでいるので聞いてみたら、今は昼間しかやっていないとの事。残念だ。届いた地魚天丼は小さいが魚のてんぷらが5枚も載っている。そして美味しいこと。アジやキスらしいが、よく分からない魚だ。一緒に付いて来たあら汁がまた美味しい。それが何とあら汁付きで750円だ。あまりに美味しいので、お土産用に売っている干物詰め合わせも買って、自宅に送った。(この干物も大変美味しく、堪能させていただきました。) |
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| 昼間の散策と思い、千本浜から沼津港まで歩いてみた。その日は残念ながら富士山は見えなかったが、ここからの眺めは最高だろう。沼津港には沢山の干物屋さんとすし屋、料理屋が並び、観光客でにぎわっていた。昼飯も干物も手に入れてしまったので、町に戻り居酒屋散策へ出発した。 |
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| 沼津の居酒屋街はあまり集まっている様子は無く、北口と南口に分散している。まずは南口だ。ざっと歩いてみると、駅から少し離れたところによさそうな店をいくつか発見。その一つに入ってみた。名前は「いやま」。軒下に酒林がかかり、日本酒のビンが何本も置いてある。期待できる。店内はカウンターと奥に座敷がいくつか。カウンターには既にカップルの客が座っており、私は一人寂しくカウンターの逆側に座った。ビールを一杯いただき、後は酒だ。しかし、静岡の酒が無い。せっかく銘酒どころ静岡なのに、一銘柄ぐらいで、あとは全国の名だたる銘酒だ。刺身もご主人が自分で釣ったというカワハギが大変美味しかったが、静岡の地酒を期待してきたので、ちょっと拍子抜けだ。 |
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| 次は、視聴者の方から情報をいただいた「たなべ」だ。千本浜に近いほうなので、かなり歩いた。タクシーの方が良かったな、などと反省しながら着いた店は、外観、内装、そしてカウンターととても良い雰囲気。まだ新しいだろうが、とても上手く作っている。しかし、すぐに燗酒を頼むと、何と大メーカーの酒だった。お通しの松前漬けや刺身でいただいた金目鯛がとても美味しかったので、ちょっと残念。店構えと料理、それに夫婦でやっているほほえましさがとても良い雰囲気なので、これからに期待しよう。(これで、静岡の酒をそろえれば鬼に金棒ですよ) |
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| 街中に戻る途中に「ビクトリー」はあった。沼津にビクトリー有りと全国にその名の知れたバーだ。ちょっと探したが、暗闇に光る看板が手招きしてくれたのか、意外に早く見つかった。木の重厚なドアを開けるとそこにはすぐ階段があり、二階へ上がっていく。二階に顔を出した途端この店にお願いしようと決めていた。それほど素晴しい空間なのだ。店内は全て重厚な木のインテリア。カウンターやバックバーは何年たっているのか分からないぐらいの年輪を刻んだ太い木が使われている。まだマスターは出勤されていないということで、若手のバーテンダーさんにギムレットを作ってもらった。その仕草と味がまた素晴しい。これだけのスタッフを揃え、30年も前にこのインテリアで店を始めたマスターに是非お会いしてみたい。しかし、一日しかないロケハンなので、次へ行かねばならない。後ろ髪を引かれながら店を出た。(後は番組をご覧下さい) |
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| 北口に向おう。南口に比べて北口のほうが飲み屋は集まっている。しかし、そのほとんどがスナックのようだ。飲み屋街ももう終わりというところに「一時来」はあった。太田さんが以前訪れている店で、著書の中にも登場する。インターネットでもさまざまなところに紹介があり、ますます行って見なければとかなりの距離歩いてきた。何の変哲も無いビルの二階。看板も地味なものが一つだけ。大変分かりづらい。良くここまで太田さんも訪ねてきたものだ。店内はカウンターのみ、それも10席ほど。女将さんが一人だから仕方が無い。早速お酒をお願いすると、「喜久酔」を勧められた。そのさわやかなこと。最初の酒としては申し分ない。つまみにいわしの丸干しをいただき、次の酒は「醸し人九平次」だ。濃厚な中にもさわやかな甘みがあり、これまた素晴しい。お客さんが少ないせいか、どんどん進められるままに飲んでしまった。もう一杯、「豊杯の“ん”」だ。陸奥の酒らしく重厚でどっしりとしている。まさに私の好みだ。居酒屋と言うより日本酒バーと言う感じだが、酒と肴が素晴しく、白い割烹着の女将さんも魅力的なのでここにお願いしよう。(後は番組でご覧下さい) |
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| 2軒決まったので、後は太田さんの著書に登場する店を回ってみよう。まずは「フランク」だ。ここも駅から少し離れたところにあった。外から見ると、いかにもオーセンティックなバーと言う感じ。店内もとても洗練されていて、マスター、そのほかのバーテンダー氏も全員びしっと決めている。ここでもギムレットをいただき、大変満足して店を出た。とても素晴しい店なのだが、もう一つバー「ビクトリー」に決めてしまったので諦めよう。 |
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| もう一軒、「梅邑」(うめむら)だ。かなり古そうな飲み屋街の古い路地の二階にその店はあった。ドアは一階なのだが、ビクトリーと同じくドアを入るとすぐ二階に上がる階段がある。その階段を上がると小さいカウンターとテーブルが一つのこじんまりとした店がある。カウンターに座ると、マスターが目の前だ。と言うより店のどこへ座ってもマスターとの話ができる距離だ。それほど狭い。しかし、この小さい空間がすこぶる気持ちがいい。久しぶりにジントニックを飲みながらマスターとしばらくお話をした。 |
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| 初めて訪れた沼津であったが、なんと言ってもバーが素晴しい。バーが素晴しい町といえば、宇都宮、旭川、北見などだが、沼津もそれに匹敵する。それに比べて、居酒屋がもう一つだ。目の前の浜に上がる小魚を天丼にしてくれた昼間の「山源」が夜も居酒屋として営業してくれればいいのになどと思いながらホテルに向った。 |