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前回の鹿児島に引き続き、九州シリーズと言うことで、今回は福岡を訪れた。福岡を訪れるのは番組では2回目。1回目はあの名店「さきと」だったが、もう3年以上も前になる。当初お邪魔した時はサラリーマンの方も多く、会社帰りに一杯と言う感じもあったが、雑誌「ダンチュウ」などで紹介されたころから様子が変わってきたようだ。良い酒と良い肴は変わりないのだが、遠方からわざわざ訪ねてくる方が多くなり、大変忙しい毎日だそうだ。「大好きな映画を見る暇が無くなって」とご主人がこぼしているのを聞いたこともある。まあ忙しいのは大変良いことだが、ご主人には無理せず頑張って欲しいものである。 |
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| さて、居酒屋探訪であるが、「ダンチュウ」に紹介されていた店を中心に回ることとなった。(ダンチュウに載っている店はほとんど間違いが無く、副編集長の里見さんはさすがだと感心するばかりである) |
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| まずは、博多の中心部からタクシーを飛ばすこと20分。西区の「えぐち」だ。(えは本当は旧字なのですが)ダンチュウの記事によると酒の品揃えが良く、さらに活きの良い玄界灘の魚が食べられると言うので、東京を出る時から楽しみにしていた店だ。タクシーの運転手もこんな所に居酒屋があるのですかと怪訝な表情を見せるほど、何の変哲も無い住宅地のまん中にその店はあった。開店直後だったようで、まだご主人が今日のメニューを書いていた。カウンターに陣取り、取りあえずビールだ。嬉しいことにハートランドとエーデルピルスの生がある。エーデルピルスを飲みながら、注文をとご主人を見るとまだメニューと格闘中である。「ちょっとまって下さい」とご主人。私もまだ早い時間なので、ゆっくり待つことにした。待つ間に店内を眺めると、かなり広い。カウンターは6人ほどだが、テーブル席が6つほどあるだろうか。この店をご主人と奥様と思われる方と、もう一人の料理担当の3人でこなして行くのはかなり大変だろう。まあ混まなければ問題は無いが。カウンター奥に並んだ日本酒がなかなかだ。各地の地酒が並んでいる。がしかし、福岡の地酒が、見当たらない。ご主人曰く「地元のお客さんには、地元の酒はうけないんですよ。他の地方の酒の方が出ますので。」地元のお客さんが多いのであれば、仕方の無いことかもしれない。まあ、逆に地元の方が通う店なら期待が持てる。ビールの2杯目が飲み終わるころやっと注文が出来た。ここはなんと言っても刺身の盛り合わせだ。カウンターの中でご主人の包丁裁きが見える。期待しながら日本酒を頂いた。出来上がった刺し盛りと共に味わう冷酒は、確かに素晴らしい味であった。しかし、ここまでの時間がなんと一時間。後から来たお客さんも、ビールを立続けに2杯飲んでいる。いくら開店早々とは言え、段取りが悪いのでは?と思ってしまう。まだ開業して日が浅いのであろう。これからに期待しよう。 |
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まだ回りたい店が何軒かあるので、焦ってタクシーに乗った。タクシーの中から「寺田屋の二階」へ電話を入れ予約。この店もダンチュウに紹介され、以前行った事がある。ちょっと狭いが大変良い店で、予約しないとまず入れないのだ。大名の狭い路地を入った所にその店はあるのだが、看板が変わっていた。「寺田屋の二階」のはずが、「寺田屋」となっている。はてな?と思いながら木戸を開けると案の定満員。なんとか席を作ってもらいカンターで一息。ビールを頂くと威勢の良い声で、「混んでいて悪いね。何しましょう。」と矢継ぎ早に聞いてくる。カウンターに並んだ大皿料理を適当に頼み、店内の喧噪に身をまかせた。以前お邪魔した時と何も変わらず、この活気が素晴らしい。カウンターからも、二階の個室からもひっきりなしに注文が飛ぶ。店のあちこちから議論する声や、笑い声が聞こえる。先程の店とあまりにも対照的なので、心の中でクスクスと笑ってしまった。日本酒の揃えはさほどでも無いが、この喧騒の中に一人で身を置くとなぜか落ち着く。居酒屋とはそう言うものなのか?暫くして、隣の二人連れが帰りゆっくりできた。すかさずご主人に「前は寺田屋の二階と言う名前でしたよね。」と話し掛けると、「ええ、二年前に私がこの店をオーナーから引き継ぎまして、その時名前も変えました。」との答え。それから注文も一段落したのか、しばらくおしゃべりができた。さて取材をお願いしようかと思った所、「最近、雑誌に紹介され、急がしくって」と鼻を挫かれてしまった。しかし、ここで引き下がったのでは仕事にならない。すかさず取材のお願いをすると、「テレビには出た事無いよ。大丈夫かな?でも営業時間中はちょっと無理かな?毎日この状態だから。」たしかに、こんなに混んでいたのでは取材は難しい。で、結局、開店前の時間にお願いする事となった。(番組の中で、太田さんが一人で飲んでいる理由はこういう事です。しかし、本当はいつも混んでいますので、予約して行かれた方が良いと思います。後は番組で御覧下さい) |
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居酒屋一軒は決まった。(本当は居酒屋二軒にしたかったのだが、当てが無い。)後はバーだ。太田さん御推薦のバー「オスカー」へ入った。このバーも前の取材の時に一度お邪魔した事がある。とても良いバーだ。なにしろ、銀座の名店「テンダー」の上田和男さんの弟子が開いた店だ。お決まりのギムレットを頂いたが、その素晴らしい事。上田さんそっくりのシェイキングで、グラスに氷を一つ入れるのも上田流だ。太田さんの事は良くご存知で、取材は即OK。これで二軒決まった。(後は番組で御覧下さい) |
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| まだちょっと時間があるので、他のバーも覗いて見よう。中州のバー「街」だ。色々な人から、古くて良いバーだよ、と聞いていたのだが、訪れるのは初めてである。中州は一番盛り上がっている時間なのであろう、道を歩く客、客引き、タクシーの列。大騒ぎだ。「街」のドアを開けると、そこは外の喧騒が嘘のように静まり返っている。客は私一人だ。頂いたカクテルは昔の味。(と言っても昔の味を知っている訳では無いが)なんとも懐かしい雰囲気である。壁に飾られたノベルティーがなんとも古めかしい。しずかに話すマスターと奥様との会話に、時間を忘れてグラスを傾けた。(ここも取材をしたかったのだが、居酒屋一軒、バー二軒になってしますので諦めました。博多へ行く方はぜひお立ち寄り下さい) |
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| もう一軒、ぜひ訪れて見たい店がある。「七島」である。ニッカバーとついているだけあって古いバーのようだ。しかし、現在は改装して新しい雰囲気だった。熟年のマスターと娘さん二人でやっていると聞いていたのだが、カウンターの中にはバーテンダーさんが沢山。どなたがマスターで、どなたが娘さんなのか分からない。店内もどちらかと言うと若い感じ。ちょっと場違いかなと思いつつ、ギムレットを頂いてみるとなかなかの味である。若いバーテンダーさんに、マスターは?と聞くと「今日は先に失礼させていただきました。」とのこと。残念。今度はもっと早い時間にお邪魔するとしよう。 |
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| もうかなり酔っぱらっているのだが、もう一軒。宮崎の「続人間」の息子さんがやっているバーへ行ってみよう。中州から那珂川を渡った所にそのバーはあった。名前はなんと「続人間」。お父さんのバーと同じ名前だ。5人も入ればいっぱいの小さなバーで、宮崎の店のような重厚感は無い。しかし、木を基本にした造りはとても好感が持てる。客は私一人で、マスターはどこの馬の骨だか分からない一人の中年客に、警戒心を持ったのか、「どこでお聞きになりました?」と聞いてきた。私は一言「お父様」と答えると、マスターの顔が一瞬照れくさそうにニヤッとした。すぐにお客さんがひとり増えたので、余り話もできなかったが、彼はどんな気持ちなのだろう。イヤな気持ちでは無い事は確かだと思う。 |
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| 全国のバーを回ってみると、親子二代でバーテンダーをやっている方を多く見かける。政治家の世襲制は認めたく無いが、バーテンダーの世襲制は大いに結構。親の背中を見て子供は育つという。バーテンダーの背中はやはりかっこいいものだ。それが子供にとっては特に偉大に見えるのかもしれない。(街も七島も親子二代のバーテンダーでした。) |
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