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「全国居酒屋紀行ファイナル」が終了して3ヵ月。新シリーズの第一回目は太田さんの飲み友達(?)である「角野卓造」さんをお迎えして、神田司町の「みますや」で対談を収録させていただいた。久しぶりの番組収録であったが、もう既にこの番組も5年目を迎えるので、さすがにスタッフもなれたものである。収録は小一時間で終わり後は飲み会。太田さん、角野さん、スタッフ全員で楽しい時を過ごさせていただいた。(角野さんは文学座だが、同じ文学座の太地喜和子さんのお話が、大変興味深く、つくづく惜しい人を亡くしたと痛感した次第です。) |
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| さて、新シリーズの旅の始まりは、オリジナル「全国居酒屋紀行」のスタートと同じく鹿児島を訪れる事とした。なぜかと言えば、まず、前回は桜島が見えない間抜けなオープニングになってしまった事。そして、この5年間に芋焼酎ブームが首都圏を中心に大変盛り上がっているからだ。芋焼酎のメッカと言えば鹿児島。その単純な思いで、一路鹿児島空港に向った。 昼間、西郷隆盛像、大久保利通像、仙厳園、石橋記念公園などを見て歩き、さあ、いよいよ、3ヵ月ぶりの居酒屋巡りである。(その間も個人的に居酒屋巡りをしていたのは言うまでも無いが。)今回は、以前「蔵元と巡る居酒屋紀行」のときご紹介していただいた店と、居酒屋紀行掲示板の常連さんからの情報を頼りに探してみよう。 |
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| まず、天文館から大通りを一つ渡った、アーケード近くの「分家無邪気」に入った。第一回目の放送の時、「第ニ無邪気」という店を取材させていただいたのだが、何か関係があるのだろうか?(ちなみに、「第ニ無邪気」は改装されていて、昔のあの趣のある店内ではなくなっていました。) 店内は意外に天井が高く、古い老舗の居酒屋と言う感じでとても好感が持てる造りだ。9月に入ったと言うのに大変暑い一日だったので、生ビールの美味しい事!一気に飲み干し、キビナゴの刺身と味噌おでんを注文した。鹿児島へ来ると必ずキビナゴを食べるのはどうしてだろう。確かに美味しいので、文句は無いが。そして、カウンターの中にはおでんのフネが鎮座。外の暑さを考えるとちょっと場違いのように写るが、この店の名物と言う事で頼んでみた。肴が到着する前に生ビールが無くなったので、焼酎でもと思い目をあげると、「伊佐美」があるではないか。私の好きな芋焼酎だ。キビナゴの刺身と良く合う。これが鹿児島の魅力だな、など思いつつ味噌おでんに手を付けるのだが、これが私には理解できなかった。甘い味噌の味が焼酎と合うとは思えないのだ。老舗の居酒屋で昔から名物、味噌おでんがまずい分けは無いのだが? 気を取り直して、キビナゴのカラ揚げをいただこう。これが焼酎にぴったり。さすがである。他のつまみ類も豊富だが、メインは味噌おでんと串焼き(鳥や豚)のようなので、ここは少し早めに切り上げよう。 |
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大通りを超えるとそこは天文館の一大繁華街だ。よくもまあこんなに店が集まったものだ。たぶん千軒は余裕で超えるだろう。これも前に取材させていただいた「焼酎天国」の通りに「味乃さつき」を発見。こじんまりとした、一見小さなおでん屋風の店先だが、看板が良い。屋久島と大きく書いてあり、活きの良い魚が食べられそうだ。早速玄関を開けるとそこは左にカウンター、奥に小上がりが幾つか。満員のようだ。しかし、女将さんが「奥、空いてますよ」と元気に声を掛けてくれた。ちゃぶ台のような小さなテーブルに腰を下ろした。 再び生ビールをいただき、さて肴だ。つけあげに刺し盛り一人前だ。東京では薩摩揚げと呼ぶが地元鹿児島ではどこへ行ってもつけあげである。不思議なものだ。そのつけあげの美味しいこと。揚げたてだから当然だが、熱々で弾力があり、コクが凄い!聞くと、全て自家製で魚はトビウオだそうだ。続いて出てきた刺し盛りが又凄い。全て新鮮で味がみんな濃い。特にブダイの刺身は今まで食べたことの無いような味だった。もうこの時点で、取材はここにと思ったのだが、もう一軒是非お邪魔したい居酒屋があったので、思いとどまり「三岳(屋久島産の芋焼酎)」をロックでいただいた。すると、女将さんが「今日はまだ伊勢海老が解禁前なので無いのよ。もう少し待ってね。お父さんが沢山取ってくるから。」えっ?この魚はほとんど女将さんのご主人(70才)が口永良部島で潜って取ってくるの?驚いた。70才の海人とは。いままで、幾つか自分で漁したものを出す店はあったが、最高齢では無かろうか。伊勢海老に後ろ髪を引かれながら店を出た時には、既に満腹状態で、まだちょっと早いがバーへ行くことにした。(後は番組で御覧下さい。伊勢海老の味噌汁は本当にお勧めです。9月から5月までです。) |
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バーの一軒目は「ハイブリッジ」。NBA(日本バーテンダー協会)鹿児島支部支部長を勤めるマスターの店だ。雑居ビルの2階なのだが、アプローチはお世辞にも美しいとは言えない。ちょっと不安だ。しかし、店内に入ってその不安も瞬時に解消された。長い清潔なカウンターにハイバックの椅子。とても落ち着いていて、ゆっくりカクテルを楽しめそうだ。いつものようにギムレットをいただいて見よう。もう何杯飲んだか分からないギムレットだが、それだけに較べられる基準が出来たとでも言えば良いのか、自分の好みがハッキリしてきた。マスターはまだのようで、チーフと思しき方がシャーカーを振ってくれる。出来上がったギムレットは正に私の好みにピッタリ。甘過ぎず、辛過ぎず、それでいてキリッと深みのある味。素晴らしい。一杯目ですぐここにしようかと思ったのだが、折角なので、別の古い店も聞いてみた。幾つか教えていただいたなかで、一番近くて、最も古いであろうバーへ向った。 |
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| その「池田バー」は、ビルの一階、とはいっても通路の一番奥にひっそりとあった。店内はいかにも老舗らしく重厚で、洋酒メーカーのノベルティーがところ狭しと並んでいる。早速ジントニックをいただきお話をうかがった。「創業者の池田は今年の2月に他界しました。始めたのは41年前で、一度引っ越しています。入り口の脇の写真が池田です。」と聞き、写真を拝見すると、まるで開高健さんのように渋い二枚目の方であった。もう少し早くくれば池田さんにお会いできたであろうに残念である。さらに、「池田は鹿児島のバーテンダーの草分けで、沢山の弟子を送りだしています。」とのこと。人望も厚かったに違い無い。インテリアの素晴らしさと、カクテルの素晴らしさ、そして、バックに流れるジャズが大変心地良く、何杯もカクテルをいただいてしまった。店を出るころにはかなりの酩酊状態で取材交渉ができる状況では無かった。仕方が無い。明日にしよう。(通常は一日の滞在なのですが、今回は「ラーメンのある街へ、大衆食の裏路地へ」と共同ロケハンでしたので、二日間の滞在でした。) |
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| 次の日も大変暑く、夕方5時でもまだ気温は30度はあろうかと言う真夏日であった。早く冷たいビールが飲みたいと店を捜しまわったが、鹿児島の夜は遅く、予定していた店もオープンは6時だと言う。そこで、太田さんの著書にも登場する「たぬき」に入ってみた。すると、まだ準備中なのか、見習いのような若い板さんがまだふき掃除をしている。私が入ってきたのに気付き、手を止めて「いらっしゃいませ」と元気の良い返事が帰ってきた。店内は広めの小料理やさんと言う感じで清潔で明るい。しかし、居酒屋よりは少し高級かな?と思いつつ、喉の乾きを生ビールで癒した。何かつまみをとお願いすると案の定ご主人はまだであった。お通しだけでもと言うことで、なまり節をいただく。これがなかなかいける。さすがに店の構えに違わず良い料理を出す店らしい。暫くしてご主人が来たところで、焼酎のロックと刺身をお願いした。薩摩切り子でいただいた焼酎とアコウダイの刺身はとても美味しい。しばらくご主人と九州新幹線は是か否かなどと話をし、予定していた店へ向うためお勘定をお願いした。実は店構えから見て、かなり高そうだと予想していたのだが、普通の居酒屋とさして変わらなかったのでホッと一安心。 |
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| 店を出てすぐタクシーを拾い、「ほん田」へ向った。この店は以前「蔵元と巡る居酒屋紀行」のとき、富乃宝山の西陽一郎専務に連れて行っていただいた所だ。天文館からはタクシーで20分ほど。それだけの時間を使っても良いと思える素晴らしい店だ。実は最初からここに取材をお願いしようと決めていた。店に着くと早速カウンターへ。ご主人は私の顔を覚えていて下さった。昨日の「さつき」と同様、つけあげと刺し盛りをいただく。どちらも素晴らしい。特に刺し盛りは、特注の皿に盛り付けられ、その美しさは居酒屋料理の域を完全に脱している。焼酎は当然、富乃宝山。香りといい、味といい、最先端を行く芋焼酎であろう。まだ新しい店だが、落ち着いてセンスのあるインテリアと飲み助の心をくすぐる酒と肴で、大満足の店だ。さて取材交渉である。覚えていて下さったので、すんなりOKしていただけると思ったのだが、どうも事情が変わったらしい。大家である青物市場の決め事で、営利目的の商売をしてはいけないそうだ。現在話し合いの最中で、来年には解決の見込みだが、今はちょっと表に出るのは難しいとのこと。残念だ。この「ほん田」と「味乃さつき」で決まったと思ったのだが。 |
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| 今日一日しか無いので、急がなければ。タクシーを飛ばして天文館へ戻った。「味乃さつき」へ交渉だ。店へ入ると昨日同様混んでいる。ゆっくり飲んでいる暇も無いので、立ち話で取材をお願いした。「こんな店で良いの?」と遠慮ぎみの女将さんになんとかお願いし、後はバーだ。昨日の「ハイブリッジ」か「池田バー」にお願いしよう。ここは年代の古さで「池田バー」かな?昨日はまだ出てらっしゃらなかったマスターにお願いするとすんなりOKをいただき、これで安心。 |
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| もう一軒と思いハイブリッジでご紹介いただいた「魔の巣」へ。ハイブリッジ出身の若手のマスターが仕切るバーだ。変則の階段を3階まで上がりドアを開けるとシャレた空間が広がった。オーセンティックでは無いが、なかなかシックだ。マスターは小柄だが、作っていただいたギムレットはなかなかの物。だが、太田さんが一人でカウンターに座ってもあまりしっくりとはこないかも。この日もカウンター、ボックス共にカップルのお客様ばかりであった。 |
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| 多少酔っぱらってきたがまだ時間はある。この近くで紹介された「酒海空」(「空」が店名かも)へ入った。お客さんは誰もいない。カウンターとは言えないような、大きく反り返った巨大なテーブルが一つ、中央に置かれている。向こう側に店主、こちら側に私が向き合う形だ。何かお勧めの日本酒をとお願いすると奥から何やら珍しい一升瓶を抱えてきた。(この時点でかなり酔っぱらっていましたので、銘柄は忘れてしまいました。)なかなかいける。つまみはほとんど無く、日本酒と本格焼酎の店だけあって、かなり良い酒だ。勢いでもう一杯いただいたが、又それも凄い酒であった。ご主人と、日本酒談議を小一時間。さらに本格焼酎談議を始めてしまい、その後焼酎を2杯も飲んでしまった。他にお客さんがいなかったことも手伝って、長居をした。この時間になって、日本酒と焼酎を2杯づつは辛い。ロケハンの事はとっくに忘れて、酩酊状態で店を出た。 |
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| しかし、何を思ったのか、タクシーに乗り「B.B.13 Bar」へ向っていた。このバーも以前お邪魔した店だが、建物が素晴らしい。80年以上経っている石造りの建物で、昔は銀行だったそうである。古めかしい階段を2階へ上がりドアを開くと高い天井に落ち着いたハイカウンター。バックバーの後ろは鏡になっていて、昔の雰囲気を漂わせている。もうかなり遅い時間なので、がらんとした店内にお客さんは見えず、マスターもどうも一杯引っ掛けていた様子だ。わざわざタクシーを拾って、ここへ来たのは、最後にすっきりとカクテルで閉めようと思ったのだろう。ジンリッキーだ。お互い酔っぱらっているマスターと私の会話だが、不思議と噛み合っていたようだ。だが、何時の間にか閉店時間をむかえ、再びタクシーに乗りホテルへ。後は良く覚えていない(すみません)。 |
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| 再び始まった「居酒屋紀行シリーズ」。みなさんの熱い声援にお答えすべく、「いい酒、いい人、いい肴」を探してニッポン全国を旅します。御期待下さい。 |
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