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久しぶりの山陰だ。しかし、今回7年ぶりの松江は、その間に太田さんが何度も訪れていたため、太田さんご推薦の居酒屋、バーを巡れば良いので、気が楽だった。
まず向かったのは夕方四時半から営業している「やまいち」。橋のたもとにある魅力的な店だ。ちょうど西日が当たる場所にあり、眩しいくらいだ。
店内はカウンターと小上がりが二つ。ちょうど良い大きさだ。まだお客さんのいないカウンターに一人ですわり、エビスの生ビールをお願いした。つまみはうなぎの白焼きだ。宍道湖七珍の一つのうなぎだが、宍道湖で取れるとは意外だった。黒潮に乗って北上してくるうなぎは太平洋岸の魚だとばかり思っていたのだ。あっさりとしているが臭みは無く大変美味しい。
さらに白いかの刺身と豊の秋の常温をいただいた。白いかは取れたてのコリコリ感はないがねっとりと味がのって熟女のようだ。
ご主人と奥様、そして息子さんの3人で営業されていると聞いていたが、今日は奥様と息子さん、そしてお手伝いの女性が一人という体制だ。聞くと、ご主人は齢のせいかあまり店には出ないと言う。今はほとんど息子さんに引き継いで安心しておられるのだろう。
取材の話を切り出すと女将さんに、「おでん庄助にも取材行かれました?」と聞かれ、「ハイ、ずっと以前に一度」と言うと、「あそこの女将さんは主人の妹で、頑固なうちの主人が前の女将、すなわちお母さんとうまく行かなくて飛び出しちゃったのよ。」と教えてくれた。そんな過去が有ったとは全く知らず、良くも取材のお願いをしたもんだと反省したが、「もうお婆さんも亡くなった事だし、主人も気にしてないわよ。」と微笑んでくれた。
それを境に話が弾み、村松友視さんや渡辺文雄さんが良くいらしていたこと、店は40年の歴史で最近は店で飲んで最終の飛行機で東京や大阪へ帰る人が多いことなどをお聞きし、大変良い気分で店を出た。(後は番組でご覧ください)。
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次は、つい最近も太田さんが山堂さん(以前、旅チャンネルにも出演していただいた日本酒と焼酎のライター)と共に訪れたという「よびこ」だ。
店内には早い時間のためかまだお客さんはいない。カウンターの端に腰を下ろすと、ご主人がすぐに注文を聞いてくれた。生ビールを頼むとすぐにお通しだ。骨せんべいと蜆の醤油漬けらしきものが出てきた。蜆は一粒口に入れるとただの醤油漬けではなく蜆の豊かな香りと複雑な味が口いっぱいに広がる。驚きの味だ。蜆と言えば味噌汁が定番だと思っていたが、これはすごい。是非番組で紹介したいものだ。
酒は当然日本酒。すぐさま豊の秋の燗酒にしてもらった。そして、ご主人のお勧めに従って刺し盛をいただいた。中身はイサキ、ヒラメ、レンコダイ、イサキの霜作り。何をいただいても大変美味しい。そうするうちに、ご主人の釣りの話になり、自分で釣って来たベラを食べてみないかと進められた。ベラという魚は海中ではよく見るのだが(私はスキューバダイビングもやるので)、食べて旨いと思ったことは無かった。なんか水っぽい感じがしていたのだ。
しかし、出された塩焼きは新鮮なのもそうだが、ご主人が自分で釣っただけあって、釣った後の処理が違うのだろう。全く水っぽさは全く無く、ほくほくして大変美味しい。こんなに美味しい魚を食べたのは久しぶりだ。もう一本燗酒を飲み干し、取材のお願いをしたが、太田さんが良く通っている店だけあってすんなりOK。これで安心してバーへ向かえる。(後は番組でご覧ください)。
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最後のバーは行く前から決めておいたのだが、その前にちょっと一軒寄って行こう。ただ単にその方が近いからだが。「やまいち」の近くにある「中村バー」は、ここも川沿いに立つ最高の立地だ。
三階建ての新しい建物の二階がバーで、マスターは三階に住んでいるらしい。二階への階段を上がるともう一度ドアがあり、そこを開けるとバックバー一面の広い窓に映る夜景が迎えてくれた。こんなバーは都会の高層ビルの最上階か、秩父の山奥へ行かないとお目にかかれない。
カウンターには何人かの先客がおり、私は端に腰を下ろし、ジントニックをお願いした。窓外の夜景を見ながら飲むジントニックは大変美味しい。酒には飲む場所の雰囲気が大切なのだと良く分かる。続いてギムレットをお願いすると、これまた切れのあるギムレットで大変美味しい。聞くと、マスターはNBA(日本バーテンダー協会)松江支部の支部長と言う役職についていらっしゃるそうだ。どうりで美味しいわけだ。夜景の雰囲気と相まって最高のカクテルに仕上がっている。良い店にめぐり合ったものだ。これで妙齢の女性でも隣に座ってくれれば言うこと無いのだが、あいにく私は一人。ちょっとさびしいので次のバーへ向かった。
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最後は最初から決めていた「山小舎」だ。以前の取材の時もお邪魔したのだが、その時は「バッカス」という老舗に取材をお願いしたので、この「山小舎」はまた今度と言うことになっていたのだ。
重厚なログキャビンのような建物のドアを開けるとそこには、昔懐かしい重厚なバー空間が広がっている。落ち着いてグラスを傾けるカウンターのお客の後ろをと通って、一番奥に座った。この位置にはいつも恰幅の良いマスターがパソコン相手に仕事をしていたのだが、そのパソコンもマスターも見当たらない。とりあえずジントニックをいただき聞いてみると、今年(2006年)2月末で引退されたそうだ。今は、三代目に当たる息子さんが店を引き継いでいた。
店の雰囲気は変わらないがマスターが変わってしまってはと一瞬思ったが、息子さんのバーテンダーとしての立ち振る舞いや作るカクテルの味は以前となんら変わらないので早速取材のお願いをした。ここも太田さんが良く通っておられる店なので難なくOKをいただいた。
その後、ギムレット、カミカゼと立て続けにカクテルを頼みとても良い気持ちになっていると、先ほど「中村バー」で見かけた客が入ってくるではないか。やはり、松江の酒飲みたちは同じようなルートで酒を楽しんでいるのだ。私も今日のルートが大変気に入り、もう一回松江に来たらたどってみたい気持ちになった。(後は番組でご覧ください)。 |
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| 松江にはその他にも良い店が目白押しだ。次にどこへ行こうか迷ったが、どうも飲みすぎで足元がおぼつかない。怪我をしないうちに帰ったほうが良さそうだ。そう、楽しい酒だからこそ良い気分のうちに帰ったほうが良いのだ。酒に呑まれてトラブルを起す人間だけにはなりたくないので。 |
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