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| 居酒屋紀行シリーズももう8年目。全都道府県を制覇して、県庁所在地や大都市はほとんど回ったので、中小規模の都市を訪ねているが、それもなかなかままならない状況なので、近場からと思い新潟県へ向った。 新潟県は県庁所在地の新潟以外は村上を一回訪れただけだ。新潟県で第二の都市、長岡を忘れていた。ずっと以前に別の番組のロケでお邪魔したことがあったが、飲み歩いたことは無い。ちょっと不安だったが、酒処新潟の中心地だし、太田さんが何かの雑誌で記事を書いている店を紹介していただいたので、期待はしていた。 |
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| 長岡駅に下りるとすぐにレンタカーを借りた。朝日酒造(久保田の蔵)へ行くためだ。とは言っても蔵見学ではなく、「米と酒の道具館」を見学するためだ。「越州」「久保田」などを醸造している朝日酒造は、とてつもなく大きく、近代的な工場だった。まるで、最新式のビール工場のようだ。それほどまでに「久保田」の人気は高いのがよく分かる。 すぐ隣にある「米と酒の道具館」はこじんまりとした建物で、その二階に展示されている日本酒のラベルのコレクションが大変素晴らしい。昔は酒の瓶といえば全て同じ一升瓶で、色々なメーカーが酒屋から一升瓶を集めてきて、ラベルを貼りなおして酒を詰めていたものだった。その全国から集まる瓶からラベルを丁寧にはがしてコレクションしたものだそうだが、集めた朝日酒造の杜氏に頭が下がる。今となっては大変貴重な資料だ。 レンタカーで長岡の中心に戻る途中、「米百俵の群像」にも寄ってみた。小泉首相がたとえ話に出したことで一躍有名になった、江戸時代末期の実話を昭和になって戯曲化したものだそうで、大変勇壮な像だ。周りの公園と共に長岡市民に愛されているのだろう。たまに人々が仰ぎ見ながら歩いている。 |
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| さて、居酒屋探しだ。まず入ったのは、太田さんが以前どこかの雑誌で記事に書いた店「魚仙」だ。5時の開店きっかりに店に入ると、綺麗に整頓されたいかにも居酒屋風の店内が現われた。左手に逆L字のカウンター。右には小上がりが幾つか。カウンターの真ん中に腰を下ろし、まずは生ビールをいただいた。そして、メニューを見ると、大変な酒の種類だ。日本酒番付まである。横綱は「越の寒梅」だった。 日本酒は、後の楽しみにして、岩牡蠣だ。新潟の夏と言えば岩牡蠣と枝豆と心に決めていた。生と焼きがあるので、贅沢して一つずついただいた。ちょっと小ぶりだが、濃厚で大変美味しい。ビールにもちょうど良いが、日本酒に切り替えよう。折角なので、利き酒セットなるものを注文。いくつもの組み合わせがある中、「越の寒梅」「八海山」「久保田」「越の白梅」「白瀧」のセットにした。全て、すんなりといかにも新潟の酒だ。ご主人は、そんな私を見て、「この辺りの酒は八海山と久保田で総生産量の6割近くを作っているのです。」と話しかけてきた。確かに、最近では八海山と久保田ばかりが目立つと思ったが、そんなに多いとは知らなかった。 地酒でお勧めはと聞くと、「越の若竹」との答え。試しに一杯いただくと、これがかなり濃厚で、新潟の酒とは思えない。「こんな小さな蔵もあることを、皆さんに知ってもらいたい」と話すご主人の酒へのこだわりが、手に取るように判る酒だ。勢いが付いて、「海ソーメン」なる海草や、「野菜のてんぷら」、「ニシンの山椒漬け」などをいただき、さらに珍しい酒があると言うのでいただいてみた。なんと、新潟県の80の蔵の酒を全てブレンドしたものだと言う。ご主人が、冗談半分でやってみたら美味しいので続けているらしい。なんと、口に含むとほのかな甘さがあって大変美味しい。日本酒とは面白いものだ。 この店は大正時代から続いているそうで、現在のご主人で3代目。素晴らしい店だ。早速、取材交渉をしようとすると、ご主人のほうから太田さんの記事を出してきた。これ幸いと、「実は、太田さんと番組をやっているのです」とお話しすると、快くOKをいただいた。その後、店オリジナルの「酔法師」と言う日本酒をいただき、かなり酔っ払って店を出た。 |
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| もうかなり肴もいただき良い気分だ。ちょっと早いが、バーへ行ってみよう。ちょっと話はそれるが、南浦和に「ピース」と言うショットバーがあったのだが、そこのマスターの鈴木さんが、浦和に移り「リンハウス」と言う素晴らしいバーを作った。この鈴木さんはNBA(日本バーテンダー協会)埼玉支部長なのだが、地方へ下見に行くときはいつもお世話になっている。NBAの横のつながりは素晴らしく、行く先々のバーを教えていただいているのだ。今回も、長岡ならこのバーと教えていただいたのが「ザ・セラー」だ。 何の変哲も無い大きな交叉点の角にあるビルの二階にその店はあった。ドアを開けると圧倒的なカウンターが現われた。ブビンガの一枚板で、長さは10mもあろうか。早い時間なので、まだお客は居ない。その素晴らしいカウンターの真ん中に座り、ジントニックをお願いした。 早い時間のバーは、どこに座っても良いから大変落ち着ける。遅い時間になると、酒の勢いを借りて、隣の人に話しかけたり、マスターを独り占めにしているお客も多いが、まだ私一人なので、ゆっくりマスターの話しが聞ける。聞くと、カウンターは窓から入れたそうだ。どこかの店でも聞いたが、非常口や窓からカウンターを入れるのが一大作業だそうだ。それほどバーにとってカウンターは重要だ。 続いて、ギムレットをお願いしたが、大変切れ味の鋭いシャープなカクテルだった。店に入ったときからここに取材をお願いしようと決めていたので、「浦和の鈴木さんから聞いてきました。実は取材のお話で来たのです」とお話しすると、「鈴木さんのご紹介なら、喜んでお受けいたします」と誠に嬉しい返事だ。居酒屋でもNBAのような全国的な組織があれば良いのにといつも思うのだが、本当にバーの世界は羨ましい。そこで、もう一軒良いバーはありませんか?と聞いてみると、「黒船」と言う古いバーを教えていただいた。 |
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| 店を出ると、かなり酔っ払ったのか足先がおぼつかない。今日は良い店二軒にすぐめぐり合えたので、ピッチが早かったのかもしれない。「黒船」への階段を上がっている途中から記憶が無い。確か渋い内装と、これまた渋いマスターの店で、ギムレットを飲んだような記憶があるのだが。まあ、こんな日もある。それにしても酒に弱くなったものだ。こんなことでこの一年間、居酒屋紀行を続けられるのだろうか? ちょっと体に気をつけなくてはと思ったかどうか、それも記憶に無い。トホホ。 |
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