関連DVD/書籍情報

愉楽の銀座酒場

太田和彦著愉楽の銀座酒場 09年5月発売!! 1,700円(税込み)

太田和彦の日本百名居酒屋

「太田和彦の日本百名居酒屋」DVD 1~3巻 09年4月発売!! 各3,990円(税込み)

 

髭コラム 第十二回札幌編

 前回札幌へきたのは6年前。寝台列車に揺られて雪の札幌へ到着したことが思い出される。今回も冬の札幌を期待して訪れたのだがどうも状況が違う。雪がないのだ。日本全国暖冬で、冬の景色を楽しめない。どうしたことだろう。冬には冬の楽しみがあるのだから、寒くなってもらわないと。魚も旬のものが獲れないで、季節はずれのものが上がると聞いた。今回の札幌では何が食べられるのだろう?
 三度目の札幌。まだまだ良い店があるはずだが、今回はある人に情報をお願いした。当旅チャンネルで放送している「温泉教授・松田忠徳の『本物の温泉力』」の制作を担当していただいている札幌在住の方だ。地方局の情報番組も制作しておられるので、札幌の居酒屋事情にも詳しいとのこと。夕方五時にその方と狸小路で落ち合い、ビルの4階にある「魚菜」へ入った。札幌の居酒屋はほとんどビルの中にある。まあ、外は氷点下だから暖房のことを考えると仕方がない。
 店の中はL字のカウンターに小上がりが3つ。ご夫婦で営業するにはちょうど良い大きさだ。まだ誰もいないカウンターの隅に腰を下ろし私はまず燗酒をいただいた。同行者はサッポロクラシックだ。やはり外はいくら寒くても札幌ではビールのようだ。燗酒は新潟の北翔。ちょっと拍子抜け。しかし、卓上燗付け器で燗した酒はさすがに美味い。肴はなまこにあぶりタコ。渋く決めてみた。聞くとご主人夫婦は太田さんの大ファンで、太田さんの本を片手に暇を作っては全国の居酒屋を飲み歩いているという。なんとも取材には理想的な店だ。さらに、番組もご存知だという。そのことは同行者も知らなかったというのだから偶然とは恐ろしいものだ。なので、取材も快諾してくださった。最後に、海水ウニも奮発して食べたことを付け加えておこう。あの美味しさは北海道で無ければ味わえない、最高の味だ。ちょっと値は張るがぜひ食べて見て頂きたい。(後は番組をご覧ください。)


 ここで同行者と別れ、すすき野の真ん中へ向かった。以前、ぶらぶらとロビンソン百貨店の裏の小路を歩いているときに見つけた店で、そのときは時間が無かったので入らなかった「ふらの」だ。札幌にはもう小路はほとんど残っていない。ほとんどがビルで、味気ないが、ここだけは昔の面影を残している。路面店の引き戸なので、真冬はさぞかし寒いだろうが、私はこの方が好きだ。店内はカウンターとテーブルが二つだけの小さな店。ここも先ほどの店と同じで、ご夫婦二人でやっているようだ。こじんまりとして良い店だ。
 まずは燗酒だが、北海道の酒、国稀だった。肴にハタハタの飯ずしとたつむしをお願いし、お話を聞くと、ご主人は富良野のご出身で地元の食材やお酒にこだわった店を作りたかったそうだ。出来上がったたつむしに驚いた。たつ、すなわちタラの白子の茶碗蒸しだ。シンプルに白子しか入っていないのだが、これが美味しい。暖かさが体の中へ広がっていく。ご主人が薦めてくれた法螺吹と言う酒も大変美味しい。これは良い店を見つけたものだ。(後は番組でご覧ください。)


 もう二軒良い居酒屋を見つけたので、今度はバーだ。以前から通っている「白楽天」へ向かった。もう6年も前に太田さんと行った店だが、その後も何度かお邪魔している。その間に、場所が変わり、内装も変わった。今ではすっかり名バーになった。薄暗い店内は、カウンターとボックス席が幾つか。もう老舗と言っても良い風格を持っている。ジントニックをいただき渋いマスターにお話を聞くと、もう25年になると言う。もう老舗ですねと話をふると、いえいえ山崎さんのところに比べればと謙遜されている。バーヤマザキは85歳になろうかと言うマスターがやっていらっしゃる店で、札幌の歴史を作ってきた店だ。私も山崎マスターに似顔絵の切絵を作っていただいたことがある。確かにバーヤマザキには負けるが、相当良い店になってきている。ぜひ取材をとお願いして、店を出た。(後は番組でご覧ください。)


 その後、「ガス燈」「コウ」という二つの有名なバーにお邪魔し、札幌の夜を楽しんだ。札幌にはまだまだ良い店がたくさんあるだろう。しかし、路面店が少ないので探すのが大変だ。今はインターネットなどの情報源が沢山あるので、そう苦労はしないだろうが、私個人としては、町をぶらぶら歩きながら良さそうな店を探すのが好きなのだ。だが、札幌では難しいかもしれない。まあそのためにこの番組があるのだが。



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