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| 数少ない未踏の県である宮崎を訪れようと決めたのは良いけれど、実は太田さんも私も、殆ど宮崎の居酒屋に関して知識が無かった。しかし、永年番組を続けて来たせいか、視聴者の方から貴重な情報を頂いた。そして、旅チャンネルを放送していただいている「宮崎ケーブルテレビ」の方からの情報も頂き、いざ出陣。 |
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| まずは、宮崎駅前の繁華街からは遠く離れた一軒家「粋仙」。一軒家と言ってもガード下のプレハブだ。店の前に立って?と思ったのだが、視聴者の方に絶対良い店だからと紹介してもらったのだから、入らないと申し訳ない。引き戸をあけるとカウンター。そしてカウンターの奥に数えきれないほどの焼酎が並んでいた。これは外見では判断出来ない。良い店のようだ。生ビールと名物の地鶏を頂くと、なかなか美味しい。地鶏は、太田さんも私もあまり良い経験が無かったのだが、ここの地鶏はそう堅く無く(色は黒いが)、半分で頼めるのもありがたい。気分を良くして、ご主人に焼酎の話を聞くと、なんと宮崎は芋焼酎が大半とのこと。東京では宮崎と言えば麦焼酎と思っていたのだが、大間違いだった。鹿児島の芋焼酎ほど癖が無く、どちらかと言うと呑みやすい。これだけ焼酎の品揃えがしっかりしていれば太田さんも満足だろう。ここが第一候補と思いつつ2軒目へ向った。 |
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| 宮崎地鶏の有名店「とり乃屋」は、繁華街のまん中にあった。古い店構えが期待感を盛り上げる。店内も壁、天井と黒光りしていて、とても良い感じだ。しかし、注文を取りに来たご主人の言葉に驚いた。「細かく切りますか?」一瞬、何を言っているのか分からなかった。そうか、ここにはメニューは無く、一品だけなんだ。それも地鶏だけ!出て来たのはとても食べきれないほどの地鶏の炭焼き。細かく切ってはあるが、堅い!本場の地鶏は堅いと聞いていたが、これほどまでとは。残すわけにも行かないので、黙々と食べていると、私の隣に座ったお客さんが、「本場の地鶏は違いますな!柔らかくて味がこい!」と話している。え!そうなんだ。まだまだ自分は未熟なんだな〜、と痛感した。しかし、地鶏一種類しか無い店を居酒屋と呼ぶべきでは無いだろう。じっくりと酒を楽しむのでは無く、地鶏の味を楽しむ店のようだ。 |
| 気分を取り直して、3軒目に向った。「海川」である。店の前に立つと、なんとも心もとないアルミサッシの引き戸。中に入るとカウンターだけで、椅子は事務の椅子。大丈夫?と思ったが、大将が自分で釣ってくると言う魚が素晴らしかった。小さめのアジを丸まる一匹おろしてもらい、活き造りで頂いたが、その新鮮なこと。新鮮過ぎて、まだ死後硬直中である。魚は〆たすぐ後は死後硬直で身が堅くなる。それが良いと言う人もいるが、私はその堅さが取れて、味が乗って来たころの刺身が好きだ。ご主人と女将さんの絶妙の掛け合いが楽しい店なのだが、もう少し店内の雰囲気に気を使ったら?(ご主人ごめんなさい。)と思いながら店を出た。 |
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| 4軒めは、「海川」のすぐ近くの「とおやま」へ。脱サラしたご主人が最近開いた店らしいが、日本酒の揃えが素晴らしい。店の前に貼ってある日本酒のラベルを見れば、飲み助ならすぐに分かる。店内はまだ新しく、ピカピカだ。カウンターの上には、くし焼きのネタケースがあり食欲を誘う。宮崎の酒はお勧めできないと言うことで、佐賀の酒を頂き、博多のゴマサバを肴にした。どちらも素晴らしい。さらに、どうも御家族で営んでいるようだ。家族全員で営業している店に悪い店は少ないことを思い出し、この店が第二候補だなと思って次の店に向った。 |
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| もう一軒ぐらい居酒屋を回らねばと思い、「よもぎや」に入った。ビルの二階のその店は、一階に風情のある入り口があり、期待感が高まる。店内は幾つかの個室と6名ぐらいのカウンター。そのカウンターの中にご主人らしい方が料理をしている。カウンターは私が座ってちょうど満席。ラッキーだった。しかし、座ってすぐに分った、ここはちょっとした高級小料理屋だ。それと言うのは、カウンターは全てカップルで、座敷きの方は接待のお客さんのようだ。熱燗に生牡蠣の取り合わせは申し分なく、盛り付けもしゃれている。だが、どうも一人ではしっくり来ない。誰か女性と二人で、しっぽりとカウンターの隅にでも座って、差しつ差されつしてみたいものだ。と言うことで、居酒屋と呼ぶにはちょっとちがうので、あまり長居せずに店を出た。 |
| そろそろ、バーに足を向けてみよう。まず宮崎で一番古いと言う「赤煉瓦」だ。小さい交差点のカドに立つそのバーは、外見からして、いかにも古い。店内もカウンターだけの正統派バーだ。これは期待できる。早速ギムレットをお願いすると、マスターらしき方がシェーカーを振ってくれた。カウンターの中にはマスターと女性のバーテンダーが二人。全員シェーカーを振るようだ。出て来たギムレットは昔ながらの味。ちょっと甘めだがとても美味しい。ここがバーの第一候補だなと思ったが、他にも老舗のバーがあると聞いていたので、一杯だけにして次の店に向った。 |
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| 次のバー「続人間」はスナック等が多く入った雑居ビルの二階にあった。とても紹介が無いと入れないような場所にあるのだが、木のドアを開けてみて驚いた。カウンターの奥の酒瓶の数と木の棚の重厚さが素晴らしい。そして、マスターの物静かな態度と、人の話をそらさない会話がとてもお客さんの心を落ち着かせる。ここでもギムレットを頂いたが、その味がまた素晴らしい。小さめのシェーカーをリズミカルに振る姿が昭和30年代の古き良き時代を彷佛とさせる。「赤煉瓦」と「続人間」、バーが二つと言うわけにも行かないので、困った。もう一軒行ってみて決めよう。 |
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| 「続人間」の弟さんがマスターを勤める「蚤の市」もビルの二階、最も奥まったところにあった。店内は、細長くカウンターのみ。壁のあちこちに古い映画のポスターなどが飾ってある。偶然にも客は私一人。マスターとママさんと何気ない会話をしながら、またもやギムレットを頂いた。なかなか良い店である。しかし、ここはお兄さんの店を優先させた方が良さそうだ。何しろこの「蚤の市」よりは確実に古い。最後に宮崎の飲兵衛が必ず寄ると言う釜上げうどんの店を聞いて店を後にした。 |
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最後に、NBA(日本バーテンダー協会)の宮崎支部長の店にも寄らねばなるまい。「Cool」というバーは、まだ新しいがビルの一階に雰囲気のあるドアで、なかなか良い。しかし、店内に入ってみると団体客が2組み。とても落ち着いて飲める雰囲気では無い。それでもカウンターの端に腰をおろしジントニックを一杯頂いた。インテリアは今までの店とは違い現代風。まあ二次会に団体客が押し掛けたのだろう。若手のマスターは料理にカクテルと孤軍奮闘だ。それでも帰り際に「バタバタして、すいません。」との言葉。もう少し落ち着いた時に来れば又印象も違ったのだろうが、残念である。
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| もうかなり深い時間なので、仕上げのうどんでも食べて帰ろう。「蚤の市」で教えていただいた、「戸隠」だ。戸隠と言うとそばの店のようだが、広い店内を埋め尽くしたお客さんは、全員釜上げうどんを食べている。私も周りのお客さんの真似をして食べてみたが、その美味しいこと。ラーメンより消化も良いだろうし、東京にもこういった店ができないものかと、うらやましく思ってホテルに向った。 ホテルの前まで来ると、すぐ前に「BASHAYA」の看板が見えた。どうも本格的なバーらしい。時間はかなり遅いのだが、最後に一杯やって行こう。店内は曲線のカウンターとテーブル。老齢のマスターと女性とで切り盛りをしている。インテリアは新しいのだが、どうもマスターの年令との差が大きい。聞くと最近改装したそうだ。改装する前は「続人間」と同じくらい古い、老舗だったようだ。まあ時の流れで仕方の無いことかもしれないが、残念である。マスターの気さくな会話に時間を忘れ、又、これで最後の店と言う安心感もあり、カクテルを2杯も頂いてしまった。 どこの店を取材させえていただいたのかは、番組を御覧いただければ良いのだが、特記すべきは、取材をお願いしたお店の全てが「全国居酒屋紀行」をご存じだったことである。さらに、店に来ているお客さんにもファンの方が多く、いろいろな方に声をかけていただいた。ケーブルテレビで、旅チャンネルを放送していただいていることもあろうが、当番組のファンが一番多いのは宮崎かもしれない。そのファンのみなさんの御要望に答えるべく頑張らねばと、心新たにする宮崎であった。 |
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