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初回放送: #22 2/16(土) 15:00~15:30 ほか |
#22 福島県は相馬原釜漁港・真夜中の刺し網漁小春日和の瀬戸内から、ぶらり旅はいきなり福島県の北端、相馬市へとやってきた。長旅の車から降り立つと、松川浦漁港は北風の吹きさらし。だれもいないのかと思いきや、軽トラがとまっていてオバチャンが1人助手席に。聞けば漁師の父ちゃんと、今夜出港する船の点検に来ているのだそうな。なにやら話し込んでいる「ぶらり軍団」のPを尻目に、朽ち果てた漁船を眺めながら町中をさまよう。 大きな魚屋で「ホッキ貝」や「石ガレイ」などを見つけ、東北の漁師町を実感。干物台には高級魚の「キンキ(キチジ)」や子持ちの「ハタハタ」などもあり、嬉しくなって買ってしまう。魚屋のオヤジが「これはイボダイで、小田原あたりじゃ高級魚だよ」などと説明しているのだが聞いちゃいない。今夜の民宿は、地魚の干物を焼いての大宴会じゃ! |
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さらに街角を漁港方向に曲がると、そこは「相馬原釜漁協直売所」で、どこにでもある ような観光売店・・? だが、一歩中へ入って驚いた。世界中から魚介類を集めた観光売店ではなく、地魚を堂々と全面に出している。大きな子持ち「石ガレイ」など、切り身になっても動いているのだ! 売店を仕切るオバチャンたちの商魂たくましさは感じるも、地元人の人なつこい笑顔に包まれる数十㍍の海産物商店街だ。相馬に到着したばかりの旅人は、あれも買いたいこれも買いたいと思うだけで通り過ぎるしかない。それでも丁寧に地魚を紹介してくれるオバチャンたちに、相馬の奥深さを予感。これからどんな、出会いがあるのか。期待は、益々膨らむばかり。冬の東北は太平洋、灰色に広がる海を眺めれば、今宵は暖かい鍋でも囲みたい。そうだ、旨そうな干物も買ってあるよ。 |
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ところが・・・民宿に着くや、Pから寝耳に水の報告が。先ほどの松川浦漁港から、今夜の午前1時に出船だって!? 何とあの時、刺し網の漁師船に乗れまいかと宛を探っていたのだった。こうなっては、宴会どころではない。期待と不安を半々にして、早々皆で床についたのは言うまでもない。 普段ならば眠る時間に起床して、凍てつくような夜の海へと急ぐ。真っ暗な漁港では、出港準備をする刺し網漁船だけが煌々としていた。後で知ることになるのだが、相馬原釜の刺し網漁師は地元仲間からも「命知らず」と一目を置かれる。冬の夜の荒海を、我が庭のごとく走り回って漁をするのだ。そんなこととはつゆ知らず、宍戸兄弟が操る「明神丸」に、お願いしま~す! この元気が、いつまで持つのやら。 漁港を滑るように出ると、すでに別世界の予感。凍り付くような北風が容赦なく防寒着を膨らませ、波しぶきは横から頭から。大きく揺れる船の、どこでもいいからただしっかりつかまるのみ。満天の星空が黒い海につながって、すでにもうろうとする意識の中で、いやに美しい。 「あれが、明けの明星だよ」 沖へ向かう真東の方向に、一際輝く大きな星があった。夜の海、浮標に発信器などなくても、彼らはGPSで正確に「その場所」にたどり着く。漁場は7マイル沖とは約10㎞程だが、荒海の漁船でのそれは命がけであった。やっと漁場について安心と思いきや、とんでもない! 船足がとまった船は木の葉と同じ。世界は45度にまで傾いて、反動でさらに揺れる。両手を突っ張って網揚げを見ているのだが、心の中では「この計画は失敗だったのでは」と疑問符が連続していた。 水どんこ(クサウオ)が、いくつも揚がった。東北の海で、この季節にしか見られないという不思議な魚だ。手に持つと暖かいのは、海の底の方が温いということだ。イシガレイ、ヒラメ、ケムシカジカ、マダコ、エゾイソアイナメなどを確認したら、実況報告はそこまでだった。限界の意識が、危険信号をがなり立てていたのだ。それでも漁は、容赦なく続いていた。船のサーチライトに照らされるのは、動き続ける兄弟漁師と水しぶきのみ。時折、酔い止め薬を飲んだせいか意外や元気なPの頭が操舵室から見えるのみ。カメラも音声も、極限状態の中で「仕事」を進めていた。私は・・天空の一点の星を見つめ、ひたすらおう吐を耐えるのみ。 深さは約30㍍、刺し網は1枚が約50㍍を10枚連続させて海底に張る。これが6箇所あって、1箇所を揚げるのに約1時間。兄は網をひたすら揚げ続け、弟は魚を外したり漁網を洗ったり。その後も新しい網を仕掛けて次へいくのだから、休む暇などまったくない、働きづくめで長い時は過ぎていく。まさに「命知らず」の漁を終えて、帰港の舵を取ったのが午前7時だった。彼らは天も海も見つめることなく、まだ足下の仕事をこなしていく。 我々は、神々しいまでの朝日を背にうけながら、言葉なし。
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